こうして僕は、ヒロインちゃんに連れられてジュリオ王子の別荘へ。しかし、

執事

ジュリオ様はお会いにならないと言っています

ヒロインちゃん

そうですか……分かりました


 現れた執事の人がそう言うのでヒロインちゃんは、すぐに引いた。

 かに見えた。

ヒロインちゃん

行くわよ

ティモシー

ど、何処にですか!

ヒロインちゃん

……ジュリオ王子の部屋の窓の前かしら


 どうやらそこに行って、お話をするらしい。

 そう僕は解釈した。

 だが、友人で僕の大好きなヒロインちゃんの性格を僕は、この時、見誤っていた。

 それはジュリオ王子の部屋の前に僕達が来た時の事。

 丁度部屋にいたジュリオ王子が僕達に気付いて、さっとカーテンを閉めた。

 それに傷つきながらも僕は、

ティモシー

あ、あの、ジュリオ王子、僕、話がしたくて

ジュリオ王子

俺は話すことはない


 そう言って取り付く島もない。

 どうしよう、そう思っているとヒロインちゃんがそこで、

ヒロインちゃん

ジュリオ王子。手伝う代わりに、もしもまた“へたれ”たら、この私を巻き込んだことを後悔させるわよって言ったわよね?

ジュリオ王子

……だからどうした

ヒロインちゃん

こうする


 そこでヒロインちゃんが、そばにあった大き目の植木鉢を持ち上げる。

 僕は慌てて、

ティモシー

ま、待って、ジュリオ王子が怪我をするかも!

ヒロインちゃん

知らないわ。散々ねちねちいやみを言われた私の気持ちになってみなさいよ! その分の仕返しはさせてもらうわ!


 僕はそう叫ぶヒロインちゃんを必死に抑えているとそこでカーテンが開いて、窓が開き、ジュリオ王子が顔を出した。

ジュリオ王子

俺の別荘が破壊されても困るからな。いいだろう、聞いてやる。手短にな


 不機嫌そうな様子に僕は、迷いながらもまっすぐにジュリオ王子を見て、

ティモシー

僕は、ジュリオ王子が好き

ジュリオ王子

……どういう風の吹き回しだ? そこのヒロイナ嬢に何か唆されたのか?

ティモシー

……“親友”だっていて騙して僕にセクハラをしていたのは誰だ


 僕が半眼で告げると、ジュリオ王子は沈黙した。

 それから言い訳するように、

ジュリオ王子

だってそれはティモシーが俺の事を、恋人としてみてくれないからだ

ティモシー

でもそういった事も含めて僕にきちんと話してくれたら、僕もすぐに気づけたように思うんだ

ジュリオ王子

……それは悪かったな。ごめん

ティモシー

うん、謝ったから許す。それでその、ね、僕、ジュリオ王子が好きだと思うんだ、けど、ジュリオ王子は僕が、もう、嫌いかな? 答えは、聞いていいかな


 言葉が途切れ途切れになるのは緊張するからだ。

 どんな答えが返ってくるだろう?

 そんな気持ちになりながら、僕は答えを待つ。

 そこで深々と嘆息するジュリオ王子の声が聞こえた。

ジュリオ王子

俺が、ティモシーを嫌いになるわけがないだろう。……俺もティモシーが好きだよ


 そう、ジュリオ王子が僕に返してきたのだった。

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