今日は泊まっていかないか、そう僕はジュリオ王子に言われてしまった。

 どうしようかと思ったが、そこで、

ジュリオ王子

実は美味しい、“カナリア堂の焼き菓子”があるんだが、そうか、ティモシーは興味がないのか

ティモシー

ぜひお泊りさせてもらいます

ジュリオ王子

即答か

ティモシー

あ、でも服だけは着替えたい。泥もついちゃっているし

ジュリオ王子

分かった。どのドレスがいい?


 ジュリオ王子が意地悪な笑みを浮かべて、僕に聞いてきた。

 酷いと僕は思いながらじーっと見てから、

ティモシー

ジュリオ王子の服を貸して欲しい

ジュリオ王子

俺の服? ぶかぶかだぞ?

ティモシー

ドレスよりましだ

ジュリオ王子

……分かった


 珍しく素直にジュリオ王子が頷いた。

 なんでだろうと思っているとそこで、

ジュリオ王子

代わりに俺の部屋で一緒に寝るんだぞ

ティモシー

あれ? そうだとばかり思っていたけれど、違うの?

ジュリオ王子

……どうしてそう思った

ティモシー

だっていつもお泊りしたらジュリオ王子と一緒のベッドで、眠ったじゃないか。“親友”とはこういうものだって僕を抱き枕代わりにして

ジュリオ王子

……そういえばそんな事もあったし、言ったな


 そこでジュリオ王子が遠い目をしながらそう呟いた。

 そして僕の別荘の方には連絡はしておいてくれるという。

 だからお言葉に甘えて、僕はジュリオ王子の部屋へ行き服を借りるが、

ティモシー

うう……やっぱり袖から手が出ない。しかも片方の肩が出ちゃう

ジュリオ王子

……可愛い

ティモシー

どこが可愛いんだ、聞こえたぞ!

ジュリオ王子

いや、まあ……こんな格好、他の人に見せられないから俺の部屋でよかったな

ティモシー

本当だよ。うう、早く僕の服の洗濯が終わらないかな

ジュリオ王子

明日の朝には綺麗にされているさ

ティモシー

そう信じているよ


 僕がジュリオ王子に、ふてくされ名が答えるとそこで、焼き菓子と紅茶、そしてちょっとしたお酒が運ばれてきたのだった。

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