※紅茶で希釈されるのでお酒をそのまま飲んでいるわけではないです

 ちょっとしたお酒は、果実の蒸留酒だった。

 “トナチェリー”という果実のお酒を蒸留したもので、とてもよい香りがする。

 紅茶に砂糖とほんの少しこのお酒を入れるととてもよい香りがして甘くて、気持ちが良くなるのだ。

 だから僕は、わ~い、とその小瓶のお酒に手を出そうとして、けれど奥がそれを手にする前にジュリオ王子に取り上げられた。

ティモシー

な、何で取り上げるんだ

ジュリオ王子

何でもないのも……はあ、俺、わざと頼まなかったのに気を利かせてもっえ来てくれたんだろうな

ティモシー

な、何で頼まなかったんだ

ジュリオ王子

だってティモシー、酒癖が悪いじゃないか


 その言葉に僕は、

ティモシー

た、確かにそうだけれど少しくらいならいいじゃないか。美味しい菓子もあるし

ジュリオ王子

……どうなっても知らないからな。俺が

ティモシー

わ~い。ん? 俺がじゃなくて俺は、じゃないのかな?

ジュリオ王子

……

ティモシー

まあいいや。お茶に入れよう


 こうして僕はお酒を貰って、紅茶に入れてお菓子と一緒に堪能した、のだが。

 頭の中がほわほわして心地がいい。

 でもなんだか、

ティモシー

熱くなってきちゃったな、脱ごう

ジュリオ王子

それ以上脱ぐと裸だぞ

ティモシー

う~、じゃあジュリオ王子に抱きついてやる

ジュリオ王子

ちょ、待て、ティモシー


 焦ったようなジュリオ王子だが僕は冷たくて気持ちがいいので抱きつく。
 

ティモシー

ジュリオ王子、冷たい。抱きつくと気持ちがいい、すりすり


 そのまま顔をこすりつけているとジュリオ王子が小さく震えて、

ジュリオ王子

ティモシー、俺の事はどう思っているんだ

ティモシー

“親友”?

ジュリオ王子

……俺、そろそろ許されてもいい気がするが


 などとジュリオ王子がわけの分からない事を言っていたが、もうすでにお酒に酔っていた僕は頭がよく働か無くて、そのまま意識は闇へと沈んでいったのだった。

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