どうしてこんな事になったのか。

 僕は自問自答する。

 だがすでに理由は分かっていた。

 僕は罠に嵌められたのだ。

 親切だなと思って、自分のよく知っている人物だからと油断をしていたのだ。

 元々彼は、隙あらばこういう事を仕掛けてくる人物だったのだから。

 そう思いながら目の前に置かれている、白いフリルが幾重にも重ねられて、真珠などがあしらわれたピンク色のドレス。

 女の子が着れば最高と思えるようなそれには、セットでヘッドドレスやら、ニーソやらが一緒に置かれている。

 しかも下着が……。

ティモシー

ジュリオ王子、僕の着てきた服を返してください

ジュリオ王子

残念だが既に洗濯に出してしまった。だから服を貸してやるといっただろう

ティモシー

だ、だったらジュリオ王子の服を奪ってやる!

ジュリオ王子

大きすぎて、袖から前、手が出なかっただろう。しかもズボンだってはかなくてもいいような状態だったし

ティモシー

いや、あれはミニスカくらいの丈だったはずだから、ズボンは必要だったと思う! って、そうじゃなくて……ああ、ジュリオ王子が着替えちゃった


 そこで僕が必死の抵抗をしている間に、ジュリオ王子は着替えてしまった。

 相変わらず男性らしい服が嫌味なくらい似合っている。

 僕もこんな風になりたかったと思いつつ、ドレスを見た僕は、

ティモシー

僕も男だ! 裸でだって恥ずかしくない!

ジュリオ王子

よし、分かった。俺が着替えさせてやる。そんな恰好でこの別荘をうろつかれても困るからな

ティモシー

え、ちょ、待って、い、嫌だ、ドレスは、やぁ……ぁああああああ


 こうして悲鳴を上げた僕を容赦なく、ジュリオ王子は着替えさせたのだった。

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