小さく何かをジュリオ王子は呟いた気がしたが僕には聞き取れなかった。

 けれどすぐににこりと笑ったジュリオ王子を見ていると、それ以上追求しなくていいかな、という気持ちになる。

 そこでお茶を飲み終わったジュリオ王子が、

ジュリオ王子

今日の予定はどうなっているんだ?

ティモシー

特にないよ。今日はベッドにごろごろしようかなと

ジュリオ王子

……本当に婚約破棄に関してまるでダメージを受けていないんだな

ティモシー

心配してくれてありがとう。でも“親友”だからそういった風になるかなって思っていたんだ。だからそこまで衝撃は受けなかったかな

ジュリオ王子

……そうか


 深々とジュリオ王子が嘆息した。

 彼なりに僕を傷つけたかもしれないと悩んでいたのかもしれない。

 ジュリオ王子は優しいから。

 そう僕が思っていると、再び嘆息してからジュリオ王子は、

ジュリオ王子

それで今日暇なら、この近くの花畑に行かないか? “ロリアの花”が今は見ごろだそうだ

ティモシー

そうなんだ! 行く!

ジュリオ王子

……よしいこう、今すぐに


 ジュリオ王子が僕を急かして、僕達は花畑に向かったのだった。

 

 花畑にやって来た僕達。

ティモシー

わ~、綺麗だね

ジュリオ王子

本当だな。ティモシーに似合いそうだな

 そう言われて悔しくなった僕は座って、花を摘む。

 ジュリオ王子も僕の隣に座って花を摘む。

 だがこれは好都合だった。

 僕は一束ほど花を摘むと立ち上がり、ジュリオ王子の上から花をパラパラと落として、

ティモシー

ジュリオ王子が花まみれだ。ぷぷ、花がよく似合ってる

ジュリオ王子

……やったな。花だらけの服にしてやる

ティモシー

きゃ~


 同じことをやり返されそうになった僕はジュリオ王子から逃げたのだった。

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