両親に呼ばれたので、僕は呼ばれた部屋に向かう。

 久しぶりにヒロインちゃんと会えたのに、何でこんな風に邪魔が入るんだろうと僕が悲しく思いながら行くと、父と母が部屋の中で神妙な顔をしていた。

……

……

 どうしたのだろう?

 そう僕が思っているとそこで、すっと母が何かの紙を僕の方に差し出してきた。

※イメージ映像

 薄い水色の紙で、細かい装飾の綺麗な紙だが、

ティモシー

婚約破棄書?

……ええ、今日、ジュリオ王子から渡されました

ティモシー

そうなのですか、待ってました


 どうやらようやく婚約破棄になったらしい。

 やっぱり男同士で、“親友”のような間柄なので婚約破棄は当然だろうと思った僕。

 そこで父が、

待ってましたとは、どういうことだ? ジュリオ王子に何か粗相でもしたのか? ティモシー

ティモシー

い、いえ、ただ僕とジュリオ王子は“親友”なので婚約というのも変な感じだと

 そう答えた瞬間、ヒロインちゃんと同じように父と母に深々とため息をつかれてしまった。

 あ、あれ? 僕、変な事を言ったかな?

 だって婚約破棄は、親友だし当然だよね、と僕は思った。

 そこで今度は母が、

この婚約破棄という意味で大ごとであるから、しばらく貴方には田舎の別荘に行ってもらおうと思うの

ティモシー

田舎の別荘ですか?

ええ、スーザス地方の別荘、そこでしばらく“ゆっくり”なさい

 どうやら世間体のために、僕は田舎の別荘に行くらしい。

 そこにはジュリオ達王族の別荘もあるはずだけれど、仲たがいでの婚約破棄ではないのでいいのかもしれない。

ティモシー

よし、実は僕一度スローライフをやってみたかったんだよね

……

……

ティモシー

後で、ジュリオ王子にも別荘に行くって話しておこう

……事情が事情だから止めなさい

 そう、何処か諦めたように僕は母に言われてしまったのだった。

僕は別荘に行くらしい?

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