僕、ティモシーは、公爵家の令息である。
ちなみに生まれた時から前世と言っていいのか分からないが、異世界にある乙女ゲームなる物の記憶が僕にはある。
僕、ティモシーは、公爵家の令息である。
ちなみに生まれた時から前世と言っていいのか分からないが、異世界にある乙女ゲームなる物の記憶が僕にはある。
※イメージ映像
それに出てくる悪役の女性が“僕”であるらしい。
だが今の僕は男だ。
そのあたりの差異が何か変な感じはするけれど、放置しておくとして。
話を戻すが、その乙女ゲームに出てくる王子ジュリオは、ルートによるがヒロインのとある少女と結ばれる。
そして、それが許せない婚約者である僕の女性版が様々な嫌がらせをするらしい。
それで結局、その話が王子に伝わり婚約破棄になる、という展開だったはずなのだが。
僕が男で女の子が大好きなせいか、ヒロインちゃんにアプローチをかけてしまった。
ただ、元々ジュリオ王子と婚約していた僕。
※婚約のイメージ映像
この世界では男同士もよくあるのでそれほど不思議ではない。
そして今回このヒロインちゃんは王子ではなく別の相手を選ぶルートを選んだらしく、僕はそういった意味でも当て馬状態になっていた。
それでもヒロインちゃんがあまりにも可愛いので頑張っていると、
……もう少しジュリオ王子の方を見て差し上げたらどうかしら
? ジュリオ王子は僕とは“親友”だよ?
そう僕が答えるとヒロインちゃんは深々と嘆息して、
相手は“親友”と思っていないかもしれないでしょ
……え。ぼ、僕、ジュリオに嫌われているの?
……貴方、ジュリオの婚約者でしょう
そうらしいけれど、今まで婚約者らしいことってあったかな。
そのうち婚約破棄されるんじゃないかな?
そう答えた僕にヒロインちゃんは深く嘆息した。
でも僕からすると実際にどの乙女ゲームのルートでも、婚約破棄されるはずなのだ。
むしろ男同士だから仲よく遊んだりしたものの、ゲームの時の女性だった僕は、王子と疎遠だった気がする。
だから婚約破棄は当然の帰結でもあったのかもしれない。
逆に今はそこそこ仲がいいので結ばれる、といったものとは違う関係、そう、“親友”なので婚約破棄をされる気がするのだ。
と、ヒロインちゃんに話すと、
……
これ以上は何も言いたくない言うかのような遠い目をされる。
そこで僕は、両親に呼ばれたのだった。