何とか数分で着替え終えた結月はどうにか玄関で明彦を出迎える。
何とか数分で着替え終えた結月はどうにか玄関で明彦を出迎える。
本日もサンシャインの光に導かれ参った
【訳:おはよう】
う、うん、おはよーアキ!
慌てて返せば明彦は胡乱げな表情をする。
そうかと思えば唐突にその手が結月の髪に伸びて来た。
え、え・・・・・・!?
近距離で見る明彦の姿と触れられている髪を意識すれば心臓の鼓動が激しくなり、緊張から思わず表情を強張らせる。
しかし明彦はそれに気付いていないのか、暫く触れた後満足そうな表情で手を離す。
良し
え・・・・・・!?
良くわからず声を漏らす結月に明彦は
髪が乱れていたから直した
そう言った。
そ、そうだったんだ・・・ありがとう
まだドキドキ言っている心臓に思わず手を触れながら返す。
・・・確かに考えてみればアキが意識的に触るなんてまず無いよね
残念なようなホッとしたような複雑な気持ちになる結月である。
思わず半眼になれば不思議そうな明彦の視線とぶつかった。
生き急ぐような事でもあったのか?
【訳:忙しかったのか?】
うん、ちょっとね
それに応じながら自室へ向かって歩き出した結月は『Fratello音ゲー』のガチャをやろうとアプリを開きっ放しにしていた事を思い出した。
そうだ、敢えてアキにガチャ引いて貰おうかな
自然と後を付いて来る明彦の気配を感じながらそんな事を考える。
それだけの事なのに徒ガチャを回すだけの行為が特別な物だと感じられ、今まで以上に楽しみになっていた。