ツンデレ

あ、あと一回! あと一回やったら絶対取れっから!!

金髪の女性

全然駄目じゃない

ツンデレ

だ、誰が駄目なんだよ! 俺が出来るって言ったら出来るんだ!! 待ってろよ

金髪の女性

ねぇカケル

ツンデレ

な、何だよ静かにしてくれよ

金髪の女性

ねぇ、カケル。私のこと、好き?

ツンデレ

ななな、なんだよ急に……!

金髪の女性

ううん。何でもない

ツンデレ

……ほっ

金髪の女性

ねぇカケル

金髪の女性

別れましょう?

お試し・ピンク髪の子

金髪の男性

それっきり、会って無いのか?

ツンデレ

ああ。ってか、さっきフラれた

金髪の男性

お前素直じゃないからな

ツンデレ

自分で言うのもなんだけど、ツンデレって損だよ。だって、他人にも自分にも嘘つくんだから

金髪の男性

じゃあやめれば良いのに

ツンデレ

好きな人前にすると駄目なんだ。どうしても恥ずかしくて、見栄はりたくなって、強がりたくて苦しくなる

金髪の男性

それって本当に好きって言えんのかな……

ツンデレ

分かんない。でもあの人凄く綺麗だし、優しいし、料理も美味しい。それに、あの人見ると凄いドキドキする

金髪の男性

まぁ、そりゃあ確かに恋だわな

ツンデレ

だよな? なのに俺は、あの人を大切にするどころかいつも自分の為に見栄はって……

金髪の男性

……それでもさ、お前は言えるじゃんか

ツンデレ

え?

金髪の男性

俺は言えなかったよ。大切だったはずの人に

金髪の男性

俺、ダルデレだったから。何をするのもダルくて、彼女にやってもらってばかりで。でもダルくて礼どころか挨拶だって出来なかったよ。そして、一言も発さなくなったら、彼女はもういなくなっていた

金髪の男性

その喪失感でやっと気づいた。己の過ちに

ツンデレ

オヤジさん……それ多分デレてないよ……?

金髪の男性

まぁ、言い訳だわな。とにかく、お前は言うことが出来るんだ。好きな人に、「嫌い」って言うことが

金髪の男性

分かってくれる人は、分かってくれるさ

ツンデレ

……うん! オヤジさんも、頑張って!!

金髪の男性

余計なお世話だっつーの

ツンデレ

ナオミ!!

金髪の女性

……!

おーい、ナオミちゃんこっちー!

金髪の女性

はーい!!

金髪の女性

それじゃあね、二号さん

ツンデレ

……に

ツンデレ

……二号?

ツンデレ

俺が苦しむ程愛していたあの人にとって、俺は二号だったのか……?

……ねぇ、カケルちゃん

ツンデレ

何だよ! 笑いたきゃ笑えば良いだろ!?

ピンク髪

うふふふふっ

ツンデレ

わ、笑うな馬鹿!!

ピンク髪

まったく、カケルちゃんは素直じゃないんだから

ピンク髪

もう一回チャレンジしてみようよ

ツンデレ

え?

ピンク髪

いもちゃん取り

ツンデレ

そんなの今更やっても……

ピンク髪

カケルちゃん、何時も逃げ腰なんだよ! もっとがむしゃらに追いかけてみなよ。私分かるもん

ピンク髪

……あの人、多分カケルちゃんのこと好きだよ

ツンデレ

……ほ

ツンデレ

本当かよ!?

ピンク髪

うん!

ツンデレ

うーん、取れねぇ。こいつ鬼ムズェ

ピンク髪

カケルちゃん何やらせても不器用だねー貸してみ?

ツンデレ

……っ!

ピンク髪

ぽちっとな

ピンク髪

やったね!

ツンデレ

あ、有難う……助かったぜ

ツンデレ

でも、何でわざわざ俺にここまで……?

ピンク髪

格言を言ってあげる!

ツンデレ

ん?

ピンク髪

本当の愛はね、自分より、本当に好きな人を思いやるものなのだよ

ツンデレ

もっともらしいこと言いやがって……普段はポエム描いてるような奴の言うこととは思えん

ピンク髪

そ、それを言うなこの野郎!!

ツンデレ

と、ともかく有難う。今からじゃ遅いかもしれないけど、やれるだけやってみるよ

ピンク髪

……これで、良かったんだよね

ピンク髪

本当の愛はね、自分より、本当に好きな人を思いやるものなのだよ

 走っている途中、アイツの顔と言葉が頭に浮かんだ。あの時聞いた時は、俺はナオミのことしか考えてなかったけれど、あの言葉ってもしかして……。

ツンデレ

……いや、ないない。アイツに限ってまさか

ツンデレ

けれど……

ツンデレ

……こんな感情、初めてだ

 ふいに手を掴まれた時、不覚にもドキッとしてしまった。あの感覚は、脈打って止まらなくなるドキドキとは違って戸惑いがあったけれど、どこが気が楽になった。高揚せず、見栄もはらず、強がりもしていなかった。

金髪の男性

それって本当に好きって言えんのかな……

ツンデレ

分からない

金髪の男性

とにかく、お前は言うことが出来るんだ。好きな人に、「嫌い」って言うことが

金髪の男性

分かってくれる人は、分かってくれるさ

ツンデレ

分かってくれたら……

ピンク髪

あー。何で素直に好きって言えなかったんだろう。これもある種のツンデレ……なのかな

ツンデレ

おーい、探したんだぞ!!

ピンク髪

想いは伝わった……って、いもちゃん持ったまま!?

ツンデレ

ううん、やっぱこれはお前に返す

ピンク髪

返されても、うーん。私の趣味じゃないし……

ツンデレ

やっぱり、人の力で取ったものをプレゼントするって無いよなって思って

ピンク髪

ま、それもそうだね

ツンデレ

それに俺、向き合う相手間違えてる気がするんだ

ピンク髪

他にも好きな人いたの?

ツンデレ

うん、多分

ピンク髪

多分で大丈夫?

ツンデレ

じゃあ、手を繋いだらドキドキして、明るい笑顔が離れなくて、何の気も遣わなくていい人って、好きな人に入る?

ピンク髪

ちなみにそれって、私のことじゃないよね?

ツンデレ

……

ピンク髪

うるさいってね!

ツンデレ

……嫌い

ピンク髪

ツンデレ

笑顔が可愛くて、さらさらピンクの髪した、少し冷え性のお前のことなんか嫌いだよ、多分、凄く嫌い!!

ピンク髪

……

ツンデレ

……やっぱり、駄目か

ピンク髪

……私は好きなんだけどな

ツンデレ

ピンク髪

君のこと、全部好き

ツンデレ

……っ

ツンデレ

俺は嫌い、お前のこと、全部

ツンデレ

……の、逆

ピンク髪

……!

ピンク髪

まったく、不器用な奴だなぁ!!

金髪の男性

……だってよ。良かったのか?

金髪の女性

ええ。だって、私が幾ら愛しても、あの人はずっと、本当の自分を出せずにいた。あの人が恋していたのは、私じゃない。私を彼女に見立てた、恋に恋し、そして苦悩していた。だから、私は彼の苦しみを開放してあげた

金髪の女性

行きましょう、2号さん

金髪の男性

へいへい

お試し終わり

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