なるほどお、この女の子が剣になるんですねー!

いや、剣が女の子になったんだよ。逆、逆

そんなすごい技術があったなんて、世界って広いんですねえ!

だなっ!

てか、すっげ! なにこれ! キラキラいっぱい! みんな家か? あれ全部住んでるのか!?

綺麗ですよねぇ、こんな景色を青夜さんは見てたんだぁ

いい。もういいんだ。博士という肩書きを捨てよう――

はうっ……

ちょっ! どうしたの!? 大丈夫!?

大丈夫だよ……ちょっと頭痛がしただけだから

(最近よく頭をよぎる青夜さんの言葉)

(でも、あたしが博士という肩書きを捨てたら、何が残るんだろう)

(あたしは知りたい、この世界を、あたしが生きる意味を)

ちょっとちょっと! なんかめっちゃ揺れてんだけど! てか、堕ちていってない!?

あ、燃料がもう無いみたいなんですよお。堕ちるところはもう決めてあるんで、衝撃に備えといてくださいねえ

わ、わかった! ……って、やっぱ堕ちるのは堕ちるんだ!

ご主人様は私が守るのー

た、頼むよヴァイスー! あと、俺だけじゃなくて、この子も守ってあげてよ!

わあ、優しいんですねえ

ご主人様が言うならそうするの

ありがとうございますー! ではいっきますよー!

って、木だらけじゃん! ぶつかるよ!

今考えられる中で一番最適なのは、この林なんですよぉ

どこが最適なんだよ!

人を傷つけずに済む確率が一番高いんですー

や、オレたちが傷つくだろ!

多少の擦り傷は、男の勲章ですよ。まあ、任せてください

ぐはっ!

boot up...

おおー! 飛行機全体が光に包まれてる? すっげえ魔法じゃん!

あなたがやってくれてるんですかあ?

Deflector shield...

止まったみたいだね

すごーい! 全く無傷だったねー! あたしたちも、公園も!

ふぅ……

だけど目立ちすぎたかもしれないですー。みんな集まってきちゃいますね

掃除しましょうか? ご主人様

だめだめ! 敵じゃないから! 一般人巻き込んじゃダメ!

とにかく走って逃げるしかないですねえ

だよね……よし行くぞ!

こっちです!

ちょ! 逆じゃない!? こっちの路地裏のほうが見つかりにくそうじゃん?

大丈夫ですよー。もう作戦は思いつきましたのですー

作戦? まじ? まあ、いざとなったらヴァイスを使って……

こっちですー!

う、うん

って、あれは中に傭兵が乗ってるじゃん! 見つかるよ!?

パトカーってゆーんですー。街を警備してる人たちー。とりあえずヴァイスを元に戻してー?

あ、ああ……ローザの仲間なのか? 警備ならオレら逃げてきたんだから捕まるんじゃねーの?

いえ、その剣をちょっと貸してもらって……

こうするんです、えいっ!

ちょ、なんで叩いてんのさ!? そのパトカーってやつ、警備なんだろ!?

へっへー

貴様! 何をしている!

ほらきた! やっべーよ!

人生初、逮捕記念日なのですー!

だめだローザ、だいぶ痛い子だろ!?

乗れ! 話は中で聞かせてもらおう!!

はぁい!

ボソッ(今は素直に車の中へ入ってください)

ボソッ(本当に大丈夫なんだろーね?)

ボソッ(早く。ラウさんがやってきます)

 一方、ラウたちは――

どこに向かってるんだね

高台の公園です。あそこには林のように木々が茂っているので、不時着するならあそこですね。夜は人も立入禁止ですし

お、そこのパトカーにも協力を要請しましょうか

待て、ラウ!

ならん。警察の手に渡っては色々と面倒になるのでな。マスコミに嗅ぎつけられてもやっかいだ

そう……ですか。しかし何か目撃証言だけでも――

長官! こちら空中庭園から! やはり高台の公園に不時着する映像を確認しました!

そうか! でかした!

聞こえたな? ラウ、早く向かうぞ!

……

おい、どうした?

いえ、了解しました。速やかに高台へ向かいましょう

こうしてラウたちは、パトカーの車内でうつむく二人に気づかず通り過ぎ、高台の林へ向かうのであった。

あっぶね! 今すれ違ったのって……

軍と警察は似てるようで管轄が違うんです。そもそも灯台は足元が一番暗いらしいですよっ!

はー、かしこいな!

おいっ! お前ら何をコソコソ話している! みっちりしごいてやるからな! この不良ども!

第二章 第四話『肩書き』

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