見当たりません!

おかしいな、ローザ様、どこに逃げたんだ?

案ずるな、少女一人でなにもできまい

それが……牢に監禁したはずの少年の姿も消えております!

なんだと!?

バカな……ローザ様の命に何かあっては!

おい! 今の振動はまさか

格納庫!? ハッチが開いたのか!?

なぜだ、格納庫にはIDがないと入れないはずであろう!

向かおう! 急ぐんだ!

はっ!!

んしょ……っと

なんなのここ? 建物の一番上だよね? それにこの鳥みたいなのは何??

後ろに座ってくださいっ

え? こんなところに隠れても意味ないぜ? 敵が来ちゃうよ?

うわっ! 動いた!?

しっかり掴まっててくださいね!

なんだ!? どうする気!?

操縦するのは初めてだけど、設計図は前に見たことあるのですよ! だからきっと大丈夫ですー!

や、このまま進んじゃ! 落ちる!

いきますよー!

うわー! 落ちる!

えっ、飛んでるじゃん!?

やりましたー!

すげー! どんな魔法使ったんだ?

魔法じゃないですよぉ、そんなことより……

ご主人様、頭うったの

おー、よしよし

その子は誰ですかぁ? 格納庫のIDを認証したりハッチ開けたり、それにその体

ID? ハッチ? よくわかんないけど、この子がヴァイス! こないだ言ったろ? 女の子になる聖剣なんだよ。牢屋にいれられてからかくかくしかじかで――

やられたっ!

あいつら、戦闘機に乗ってやがります!

くそっ! 逃げられたか!

うーん……あの少年、どうやってここまで

ラウ! 追えるか!?

はい。大丈夫です、あの戦闘機は燃料補充されておりません。この街から出ることさえ不可能でしょう

そうか……しかし怪我でもされたらやっかいだ! そっちの戦闘機で早く追え!

いえ、車で向かいましょう

そんな悠長な! どこに逃げられるかわからんのだぞ!

街の中で一番被害が少なくて済みそうな場所へ向かえばよろしいかと。きっとローザ様はそうするはずです

そ、そうなのか? どこだ? おい、地図を出せ!

はっ!

大丈夫です。見当はついております

ほう……さすがだな

いくらローザ様とはいえ、この街にいる限り僕からは逃げられませんよ

だが、くれぐれも一般人にはあれがドクターローザだと悟られることの無いよう捕獲するのだぞ。あれが他の手に渡っては世界の滅亡すらありえる

そうですね。彼女は世界平和のための抑止力、その頭脳はときに世界を滅亡へと導くかもしれませんから

第二章 第三話『脱走』

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