帰ってきた。

 俺の故郷に。






 駆けつけた母は泣いていた。

 もう目覚めないと思ったらしい。




 弟が言った。

「おかえり兄貴」

 と……。



 俺は「ただいま」と返答した。




 






 それから入院生活が少し続いたが、医師はもう退院できると俺達家族に告げた。

 マチも無事に退院出来ただろうか。




 学校に通えるくらいまで回復したら、すぐにでも彼女を探しに行こう。

 必ず再会してみせるさ。

 



神谷ユウキ(ノト)

しかし暇だなー、マチに電話番号とか聞いておくべきだった……










コンコンッ










 扉を叩く音がした。

 誰かが病室の向こう側にいるようだ。

 


神谷ユウキ(ノト)

どうぞ―――

失礼します……

神谷ユウキ(ノト)






神谷ユウキ(ノト)

誰?

北野マユミ

初めまして。北野マユミ(きたのまゆみ)といいます

神谷ユウキ(ノト)

あ、ノ……神谷ユウキです

北野マユミ

はい。知ってます

神谷ユウキ(ノト)

あ、そうなんですか……

北野マユミ

はい

神谷ユウキ(ノト)

……

北野マユミ

……






 やばい気まずい。

 え、何この娘……。

 すごいヌルッと入って来たけど……。




神谷コウタ

兄貴!

神谷ユウキ(ノト)

おお―――弟よ! 助かった!

神谷コウタ

な、なにが?

神谷ユウキ(ノト)

いや、こちらのこと! それよりどうした?

神谷コウタ

彼女……、マユミさんのことは俺が説明するよ

北野マユミ

ごめんなさい、コウタさん。初めて話す人だと緊張しちゃって

神谷ユウキ(ノト)

なんだお前達、顔見知りか?

神谷コウタ

うん、そのことは後で話すよ

神谷ユウキ(ノト)

神谷コウタ

彼女は……、マチさんの『親友』だ

神谷ユウキ(ノト)

……

北野マユミ

……

神谷ユウキ(ノト)

ええっ!!!??

北野マユミ

マチとは、同じ学校に通ってます

神谷ユウキ(ノト)

いやいやいやいやいや!!! ちょっと待て待て待て待て!!!

神谷コウタ

ちなみに兄貴は混乱すると、同じ言葉を連発するよ

北野マユミ

そうなんですか

神谷ユウキ(ノト)

なんでコウタがマチちゃんのこと知ってて! 






神谷ユウキ(ノト)

なんでマチちゃんの親友と知り合いで!






神谷ユウキ(ノト)

なんで俺がマチちゃんと面識があるのを知ってる感じで!






神谷ユウキ(ノト)

なんでマチちゃんなんだ!?






神谷コウタ

兄貴、『なんで』と『マチちゃん』が多いよ。それと最後の一言がよく分からないや……

神谷ユウキ(ノト)

!?

北野マユミ

ユウキさんに伝えたいことがあったので来ました

神谷ユウキ(ノト)

お、おう! もうなんでも来いや!!!





















「マチが……、帰ってきてません……」









神谷ユウキ(ノト)

―――なんだと?

神谷コウタ

兄貴、マチさんはおそらくまだ向こうの世界にいる!

神谷ユウキ(ノト)

……

北野マユミ

私はマチを助けに行きます、ただ、それだけ伝えに来ました

神谷ユウキ(ノト)

ちょっと待て! 助けにって……向こうに行く方法が……

北野マユミ

そんなの知りません!

神谷コウタ

……

北野マユミ

マチは私の最初の友人なんです。何が何でも連れて帰ってきます

神谷ユウキ(ノト)

……

北野マユミ

それでは!






 そう言って、マユミは部屋を後にした。

 今の一言で、マチが彼女にとって、どれだけかけがえのない人か理解した。










 俺は……。

 どうすればいいんだろうか。








 

神谷ユウキ(ノト)

ま! そんなもん、決まってるよな―――

神谷コウタ

兄貴……今何考えてる?




















マチ……。


待ってろよ! 今迎えに行くから!!!



























ノト(ユウキ)

そりゃお前、異世界へ行く方法だよ!

神谷コウタ

ハァ……、やっぱりこうなるのか

ノト(ユウキ)

弟よ! 明日から作戦会議だ。マユミちゃんも呼んで来いよ!

神谷コウタ

もうここでやればいいでしょ……。マユミさんもさっさと出てきたら?
















北野マユミ

チラッ






ノト(ユウキ)

おーまだいたのか! よろしくな、マユミン!

神谷コウタ

マユミンって……

ノト(ユウキ)

俺達は『チーム・マチルダ』だ!

北野マユミ

チーム・マチルダ……、悪くないです!

神谷コウタ

また大変なことになりそうだ



















































第一部:最終章 終









ご愛読、誠にありがとうございました。

第二部もよろしくお願い致します。











最終章『ゆーうーたーいーりーd』

facebook twitter
pagetop