嫌な夢を見た。
なんだか苦しくて、心が蝕まれるような夢。
君には罪がある。
一つ、生き延びたこと。
一つ、願ったこと。
一つ、生贄だったこと。
君は生き延びてしまった。
死んでいれば願いを持つこともなかった。
君は願ってしまった。
不意の一瞬、願った永遠は届いてしまった。
君は外なる神、それも魔王の生贄であってしまった。
それは魔王の夢。
だから魔王はその願いを叶えてしまう。
だから、繰り返す。
あの一瞬の日常のために。
だからこれは君の罪だ。
あまりに理不尽?
そんなものは知らない。
ただ、存在するだけで罪なのだ。
……!
嫌な夢を見た。
なんだか苦しくて、心が蝕まれるような夢。
だけれど、その夢は逃げるように記憶から消えていった。
悪夢とは、単純に言い表せない夢。
深くて暗い、そうまさしく深淵は近くまで来ていた。