そーいやさー私、ソーニャしか知らないよね

??

名前だよ、なまえー
フルネーム知らないなーって

あ、そうだっけ

内心この話は避けていた。

だって私にはソフィアという名前しかなかったからだ。

それでまかり通っていたのは田舎の学校ということもあった。

実際聞かれると名乗る名がないのだった。
だが聞かれた以上、私は必死に名前を考えて答えた。

…私は…私の名はソフィア・エリツィナ

エリツィナというのは外から連れてこられた生贄だった子の苗字だ。

父姓は?

私は悩んだ。

これを勝手に名乗ってしまっていいものか。
彼は迷惑に思わないだろうか。

だけど私は彼の家族になりたい。

これは私の願い。

……ミノルヴナ

へーお父さんミノルって言うんだー珍しい名前だねー

……うん

………………

私は一つ決断していた。

家に戻ってこのことが揺るがないか心配だった。

今は、やめておこうという心なんとか抑えている。

それは私がリラに名乗ってしまった罪悪感の表れでもあった。

おかえり、学校どうだった

…ただいま、うん楽しかった

そうか、じゃあもうすぐご飯できるから席すわっとけ

……あ、あのね!

このままでは台所に戻ってしまいそうだったのですぐに呼び止める。

きっとこの場を逃せば二度と呼べない気がしたから。

ん?

お、お父さん…!

やっと言えた。

これまでずっと言えなかった。
そして私はまだ続ける。

!!

お願いがあります。
私に父姓をミノルヴナと名乗らせてください…

あなたの娘になりたいです。

父姓…ミノルヴナ…?

…なら一つだけ、私の名前

ソフィア・ミノルヴナ・エリツィナ

そうか、そうだったのか。
だから君は俺を…!!

ご、ごめんなさい!

ミノルは泣いていた。
私は理由が分からなく、ただ謝った。
そして私は怖かった。
これが拒絶だったらどうしようと。

しかしそれは杞憂だった。

君が謝る必要はない。

そう言ってお父さんは

私を強く、

だけど優しく抱きしめてくれた。

君は俺の娘だ。

私は初めて家族ができた。

それは彼女の願いであった

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