あの日以来ミノルは少し無理をしている。

本人は言わなくともわかる。

彼は無理をして笑顔を作っている。

きっと私を心配させまいと気を使っているのだろう。

私はあの日の「悲しい顔をしないで」という自分勝手な言葉に少し罪悪感を覚えたのだった。

あの…行ってきます…

ああ、いってらっしゃい

ただ、私は今偽りなく幸せだ。

生贄だった私は地下の牢で長年暮らしていた。

そこは冷たくて、暗くて、じめっぽい。

毎日頭が痛くなる本を読まされ、最初は大勢いた他の生贄の子たちは次第に狂っていった。

狂うのが先か、死ぬのが先か。



だけど、そんな世界をミノルはすべて壊してくれた。

おはよーソーニャ

おはよーリラ
今日も眠そうだね。

学校に通わしてくれたおかげで私は友達ができた。

今ではソーニャと愛称で呼んでくれる友達もいる。

これまでの生活が嘘みたいだ。

ああ、ずっと続かないかなぁ。ずっと、ずっと。

あ、あれ?これ前にも…

あれ?

どうしたー?夢でもみてるのかー

ううん!なんでもない!

そうかーならテキパキ歩け―

この夢はいつまでも続く、その願いが我が主に届く限り。

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