ハンカチ持ったか?
あと教材も。

はい、持ちました!

そうか、じゃあいってらっしゃい。

いってきます!

あ……その…おとう……

ん?

……いってきますミノル

はい、いってらっしゃい

ふぅ………

俺たちは中央ロシアから西に移動し欧州の近くの田舎町に移り住んだ。


ソフィアは本当に外の世界を知らなかったらしい。見る物すべてに目を輝かせていた。


最初はソフィアを怖がらせてしまうのではないかと不安だった。

屋敷の彼女に比べてまだ幼く、彼女は俺が誰かを知らない。そしてほとんど拉致に近い行いをしたのだ。

だけれど彼女は俺を信用してくれた。だから信用にこたえなければならない。


そして知りたい。彼女はいったい何者なのか。


今の彼女は俺が 「出会う前の彼女」 なのか。


あの屋敷の彼女はいったい何を思っていたのか。

それでね!それでね!ミノル!
みんなでね!

ああ、そうかよかったな

ほらソーニャ、シチューこぼしてるぞ

あ……ごめんなさい…

いいからじっとしとけ…

はい、次からは食べてから喋ろうな

はい!

ミノル―!お弁当もってきたー!

ああ、ありがとソーニャ

くすぐったい……

そういやこうやって彼女にもしたっけな

ミノル……?

少し考え事してただけだ

なぁ、ソフィアは今……幸せか?

はい、とても
温かいご飯、学校にも行けて

そうか、ならいいんだ

彼女は幸せだと答えた。

それは素直に嬉しかったし信用に応えられたと思う。

ただ、屋敷であった彼女を思うともっとできたことがあったのではないか思ってならないのだ。

あ、あの私とても幸せですから!
そ、そんな

そんな悲しい顔しないでください!

!!

………そうか俺は悲しい顔をしていたのか

いつもどこか遠くを見ているそんな感じがするんです

どこか遠くへいってしまうような気がして
私も悲しくなります

そうか、そういえば俺は屋敷から帰ってきてから一度も笑えなかったんだ。
だけど

ソーニャのおかげで笑い方を思い出したよ
ありがとう

はい!

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