遥香

ねぇ!魚とれるかな?

藍斗

ん~
難しそうだけど、やってみよう!

僕たちはズボンの裾を捲り川へ入る。
透き通る水は夏の厳しい日差しを浴びつつも冷たくきれいだった。

瑠美

なにやってんのー?

藍斗

遥香が魚獲ろうって言いだしてさ。
できるかわかんないけど、やってみよってことになったんだ。

瑠美

私もやる―!

そう言って瑠美は靴と靴下を脱いで川の中へ入ってきた。
川に反射する光が遥香と瑠美の脚をキラキラと照らして、何というか……とても綺麗だった。








右京

よぉ
何やってたんだ?

瑠美

みんなで魚獲ってた

右京

魚獲れんのか?

遥香

ぜーんぜん
みんな泳ぐの早かったもんねー

藍斗

結局、川遊びしてただけだったよ。

結局日が暮れるまで魚と戯れていた(というより一方的に追い回していた)僕らはテントの中に引きこもっていた千恵里と、夕飯の準備を始めていた右京の元へ戻ってきた。

千恵里

あんたたちもよくやるわね

瑠美

結構楽しかったよ

遥香

明日は千恵里も参加ねー

千恵里

いやよ!


なんで私までといった表情の千恵里と、何としても川遊びに連れ出したい二人の必死の攻防が続いている。
それを横目に、僕らは夕飯の準備を進める。

藍斗

楽しそうなのはいいんだけど、ごはんの準備手伝ってほしいなぁ

右京

そういうなって。
男子の女子力見せてやろうぜ!

藍斗

男子の女子力って……
それって日本語としてどうなの……?

右京

細かいこと気にすんなって

バカ話をしていると時間は早く進むもので、夕飯はあっという間にできてしまった。
あれだけはしゃいでいた女子陣もすっかりおとなしく席についている。

いただきます!!

川辺に元気な声とが響き、カレーの香ばしいにおいがあたりを包んだ。
とてもおいしそうだ。

遥香

おいしー!!

瑠美

んー!
サイコー!

千恵里

外でご飯なんてって思ってたけど、案外悪くないわね

口々に漏れる賞賛の声に僕らはアイコンタクトで喜びを分かち合う。
本当はバーベキューなどのほうがいいのかもしれないと思っていたが、これはこれでありだ。








千恵里

ホントにこんなところで寝れるの?

右京

こんなところとは失礼な

遥香

大丈夫だって

瑠美

一人ずつちゃんとテントが別れてるから、誰かに見られたりってこともないよ

千恵里

そうだけど……

藍斗

もしかして、お化けが怖いとか?

千恵里

違うわよバカ!!

千恵里はそういうとさっさとテントへ逃げてしまった。
真偽のほどは闇の中ならぬテントの中になってしまったわけだ……

藍斗

僕たちも寝ようか

右京

そうだな。
明日は近くの洞窟に行くからな。しっかり休めよー

はーいと僕らは返事をし、それぞれのテントに入る。





明日は洞窟探検だって言ってたな……
何が起きるのかな……





いろいろなことを考えながら、僕は静かに目を閉じた

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