セリヌンティウスはすっかり聞きなれた声に安堵の表情を浮かべる
……
どうした?今日は静かだな。
それともいつものお前じゃないのか?
いや、俺だ
セリヌンティウスはすっかり聞きなれた声に安堵の表情を浮かべる
どうかしたか?
今日が約束の日だ……
そうか
これがお前の最後の食事になる。
『ここでの』最後の食事だ。
そうだったな……。
今日でお前と別れると思うと、少し物寂しい気がしてくるな。
悠長な奴だ。
そうだな。
命の危機にあるくせにって思うよな
前の俺ならそう思ってたな
今は思わないと?
あぁ。
お前のその自信ありげな顔と、あの時のメロスの顔を見てるとな。
不思議とそんな気がしてくる。
この騎士のしゃべり方は、最初に比べれば少し物腰が柔らかくなったなと思った。
これが人が変わったということなのだろうか。
じゃ、俺は戻らせてもらうよ。
無駄な仕事をしに行かないといけないんだ。
王の護衛かい?
いや、お前を処刑するための磔台の準備さ。
そういって彼は去っていった。
なんだしゃれたことも言えるじゃないかと思い、気が付くと口角は少し上がっていた。
セリヌンティウス
よっ。メロスが帰ってきたか?
思えば、彼が名前を呼んだ時からおかしかったのだ。
彼は粛々と、仕事として告げた。
いや、お前の処刑の時間になった。