茜にそう言うと、しばらく考えた後、
顔を真っ赤にしてワタワタし始めた。
新崎さん、凄い!
流れるような動きが凄くかっこいいし!
扇で悪魔を祓うって言ったのも頷ける強さだ。それに最近噂で聞いた扇を持って徘徊している美少女って新崎さんの事だったんだな
そんな噂があったんですね。ただこれでも
一人ではかなわない敵もいますし、
あちこちで怪異に巻き込まれて、
大変だったりするんですけどね
そっか。人を守れる力がある事は
強みだけど、それに伴う悩みもあるんだな。
でも、新崎さんのおかげで助かったよ
いえ、まだ安心してはいけません。
まだ「命の鎖」は繋がったままですから
悪魔を祓っても、鎖は外せないの?
命の鎖は祓うだけでは解決しません。
繋がれた双方で引き剥がさない限りは
引き剥がすって言っても、
俺達には命の鎖を直接見る事ができないし、
どうすればいいんだ?
見えなくても大丈夫です
やり方としては2人一緒で目を瞑り、
自分に付けられた鎖を引き剥がす
イメージを浮かべれば大丈夫ですので
おふたりならできるはずです。
2人は外部からの繋がりなど無くても、
心で通じ合っているはずですから
新崎さん、良い事言うじゃないか
ほんとそうだね!
私と貴幸さんは余計な繋がり
なんて必要ない。
身も心も一身一体ですからね!
おい、茜……。
それ妙な誤解を生む問題発言だぞ……?
茜にそう言うと、しばらく考えた後、
顔を真っ赤にしてワタワタし始めた。
今の嘘。嘘だよ、新崎さん!
私達はまだ清らかな関係で!
と言うかまだ付き合ってもいないと言うか!
茜、落ち着け……。
まあ、茜との事はとりあえず後にして、
命の鎖を2人で断ち切ろう
俺の言葉に茜が力強く頷くのを確認すると、
茜と手を繋いで「行くぞ」と言う言葉を合図に
2人同時に目を瞑る。
2人目を瞑った後は、俺達に言葉はいらなかった。
繋いだ手でお互いの存在を感じ、
強制的に繋がれた鎖は不要であると、心で念じる。
茜の握る手に少し力が入るのを感じたため、
「大丈夫だ」と言う意味を込めて、優しく握りかえす。
すると頭の中で眩い光が広がり、
新崎さんから「もう大丈夫」と言う言葉がかけられ、
俺達は揃って目を開けた。
これで2人から命の鎖は取り払われた。
なので今後は2人で好きな道を
歩んでください
ありがとう。今回の件が解決したのは、
新崎さんのおかげだ
私からもお礼を言いたいな。
私達を……ううん、学校のみんなを
守ってくれてありがとね!
私はこれが使命だから気にしないで
そっか。人知れず戦って行くと言う事は
大変だと思うけど、これからも
茜の友達として、仲良くしてやって欲しいな
それについては……ごめん。
今回の件に関しては悪魔の影響が
広範囲に及びすぎてて収拾を付けるのが
難しいんだ
だから2人だけでなく、みんなの記憶から
私を抹消しなければならない
そんな……せっかく前より深く新崎さんの事を
知れて、学校生活を共に過ごして行こうと
思ってたのに
そう言う決まりなんだ。許して欲しい
……分かった。俺としても残念な事だけど、
新崎さんを必要としてる人は
沢山いるはずだし
寂しいからって私達が
引き止めちゃいけないよね
ありがとう。そんな事を言ってくれたのは
2人が初めてだ。私としても寂しいが、
これを糧にまた頑張っていこうと思う
みんな新崎さんには力を
貸してくれるはずだし、
次の行き先でも負けずに
自分を貫いてくれよな
全くそれ以上言われると、
君達の記憶を消すのが
心残りになってしまうじゃないか
新崎さんは満面の笑みで「バイバイ」と
告げるのを最後に
視界が真っ暗になり、意識が薄らいでいく。
またいつかどこかで