悪魔が微笑んだかと思うと、
眩いばかりの閃光が降り注ぐ。
扇が武器とは珍しい。
それで私と渡り合えるかな?
悪魔が微笑んだかと思うと、
眩いばかりの閃光が降り注ぐ。
しかし新崎さんは瞬時に顔を扇で隠して、
閃光を回避する。
私の呪詛を軽く交わすとはなかなかやるな。
そのまま食らっていれば苦痛を味わわずに、
済んだのにな
悪魔はそう言うと
手をズボンのポケットに突っ込んで、
じりじりと新崎さんに近づいていく。
それでも、新崎さんはじっと悪魔を
見据えたまま、微動だにしない。
私は婦女子に暴力は奮わない主義でな
何か悪魔に思惑があるのかと思い様子を見ていると
悪魔は突如新崎さんとの距離を詰めて、
二段蹴りを繰り出す。
だが、新崎さんはふいうちにも動じる事無く、
扇を前方に繰り出して、悪魔の蹴りを受け流した。
ははは、やはりふいうちにも動じずか。
でも、守ってばかりじゃ私に勝てないぜ?
……
悪魔が左方に目を向けたと思うと、
茜のいる方向に手を伸ばした。
茜! 危ない!
悪魔の手に宿る炎から茜を守ろうと、
隣にいる茜に覆いかぶさる。
ふふ、美しい光景ですね。
ですが、君達は私の餌食となるのが運命
これを食らいなさい、焔!
鉄刺!
悪魔の手から炎が飛ぶ寸前で
新崎さんは悪魔に何かを投げつけ、
悪魔の腕に突き刺さる。
ぐっ、何だよこれは
悪魔の腕には数本の鉄線が突き刺さっており、
その攻撃により宿った炎が消え去っていた。
この女! 涼しい顔して、
調子に乗ってるんじゃねぇぞ!
燃え尽きろ、煉獄!
新崎さん!
全てを焼き尽くさんほどの炎が悪魔から放出され、
新崎さんに向かって襲い掛かる。
舞え、旋風!
新崎さんの言葉に呼応して、
右方から強烈な風が吹くと、
一瞬で悪魔の炎を消し去った。
何だ、こいつは!
私の力が通じぬ訳がない!
呑みこめぇ、炎竜!!
地に伏せよ、風迅
ぐぅぁぁぁ!!
新崎さんの言葉に呼応した瞬間、
上空から凄まじい音と共に、
強烈な風圧が舞い降り、悪魔を地面に押し潰す。
潰えよ、風槍
やめろぉぉ!!!
無数の槍が地に降り注ぎ、何度も何度も悪魔を貫く。
人間如きに私が敗れるとは……
悪魔はそう呟くのを最期に、
霧のように霧散して行った。