新崎さんはそう言って胸元から扇を取り出すと、
蝶が舞うように円を描き、悪魔と正面で対峙した。
ほぅ、それなら私が行っていた事を
説明してくれるかな?
悪魔はまず狙いを定めた人間に近づき、
呪詛をかけて対象者を衰弱させます
当然その姿を見かねた関係者は、
突然の事で慌て、藁にも縋りたい
状態に追い込まれます
悪魔はそこを狙って、巧みな言葉で関係者に近づき、私と「契約」すれば救えると言う甘い言葉をかけて、2人を「命の鎖」で結び付かせる
契約を交わした後は呪詛自体を解くので、
元の生活に戻れるし、
悪魔も姿を現さないので、
一見解決したように思える
でも、実は「命の鎖」こそが
悪魔の狙いなんです!
命の鎖はより強力な呪詛で出来ており、
結ばれた2人から気付かない速度で
ゆっくりゆっくりと体の精気を搾り取る
体調が悪いなと自覚する頃には
もう手遅れで、終には結ばれた
両者は死を遂げてしまうんです
と言うことは、新崎さんが止めてくれなかったら……
2、3日遅れていたら、
2人とも死んでいたでしょうね
そ、そんな……
そこまで知っているとは驚きだな。
さすが『闇を祓う者』と言う所か
闇を祓う者?
闇を祓う者とは、古来から古今東西に蔓延る
怪異や、化け物。悪魔の類から人間を守り、
討伐する役目の者達なんです
剣で化物を切り裂く者もいれば、
傘で怪異を祓う者もいるし
私みたいに腕力で劣る者は、
扇で悪魔を祓うんです!
新崎さんはそう言って胸元から扇を取り出すと、
蝶が舞うように円を描き、悪魔と正面で対峙した。