鏑木 貴幸

やっぱり新崎さんが保護してくれたんだな。
茜を守ってくれてありがとう

そう言って俺は茜の元に駆け寄り、

茜に「大丈夫か?」と声をかける。

上坂 茜

うん、私は大丈夫。
新崎さんに教えてもらって今は落ち着いた。
新崎さん、ありがとね?

新崎 杏奈

いえ、私は当初の目的通りに
行動してるだけですから。
ちなみに鏑木さん、私の事は
いつ気が付いたんですか?

今の新崎さんは言葉数も多く、

堂々とした態度でこちらに探りを入れてくる。


もしかしたら、これが本来の彼女なのかもしれない。

鏑木 貴幸

気が付いたのは今さっきだけど、
最初の違和感は飴を配る時だったね

鏑木 貴幸

俺は飴を配る習慣的があって、
みんなの分を箱から取り出すつもりが、
とっさに出したのが2個だった

鏑木 貴幸

最初はお世話になっている浅倉さんと
新崎さんの分を無意識に取ったのかと
思ったけど、そうではなくて
『仲の良い3人組』と言うのは
刷り込まれた認識で、
実際は無意識の方が正しかったんだ

鏑木 貴幸

それが分かったのは、この生徒手帳に
挟み込んであった今年の体育祭の写真。
ここに君が写っていないのを見て
全てを思い出した

鏑木 貴幸

茜は浅倉さんと仲の良い2人組で、
新崎さんは身近には存在していなかった事に

鏑木 貴幸

後、新崎さんが立ち去る時に光ったもの、銀の指輪もヒントになったね。

新崎 杏奈

鏑木先輩の言う通り。
私は2週間前にある目的のために
学校に入り込んだんです

上坂 茜

その話は新崎さんからさっき聞いたよ。
最初は混乱して取り乱したりしたけど、
新崎さんの笑顔を思い出した。

上坂 茜

記憶を刷り変えられたのは事実だけど、
3人で笑い合った姿は偽りではなかった。
新崎さんは私達のために
行動してくれたんだって

新崎 杏奈

はい。茜ちゃん達は今でも凄く大事に思っていますし、この学校の誰も傷ついて欲しくないと思っています

新崎 杏奈

なので、私は茜ちゃんを、この学校の
みんなを守るために、今から現れる男と
戦わなければならないんです

何やら一人おかしな存在が
紛れ込んでいるようだね

鏑木 貴幸

来た。茜、こいつが半月前にお前を
昏睡させ、それを救うと言う名目で
俺と契約を交わさせた張本人だ

上坂 茜

何の罪もない人を巻き込むのも
許せないけど、貴幸さんを苦しめたのは
もっと許せない!

日頃ほとんど怒る事のない茜が、

悪魔に向かって憤りを露にしている。

新崎 杏奈

茜、悪魔の事は私に任せてください

上坂 茜

でも悪魔と戦うなんてほんとにできるの?
さっき闇が何とかとは言ってたけど

新崎 杏奈

大丈夫です。
悪魔の手は全て把握してますからね

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