木刀を薙いだ賢誠の背後に回り込んだ刀弥が、その背を打ち付けてきた。
賢誠の身体は軽く、いとも容易く吹っ飛ばされる。
目が醒めて賢誠は現状を再確認した。
この四歳児の兄……――刀弥の元、河原で剣の修行中だった。
癖毛の短い髪の毛が無造作に跳ねている兄は現在、家計を火の車に追い込んでいる張本人。貴族が通う武術学校で日々、修行している。
つい最近、父親が死んだ。
刀弥は兄なりに軟弱な弟を鍛えようと本日も学校から帰ってくるなり、暗くなるまでこんな感じだ。身体は戦いの経験があり何度かこういう動きがくるなら次はこう、という瞬間的な判断で攻撃をしたり、受け止めたりができる。
それでも、その小ささと体力の少なさは小さい賢誠を限界へ追い込む。