何てことはない。
この世界に不要な人間が消えたって、大したことではない。
山本賢誠……ーー両親に、誠に賢い子供になってほしいと願ってつけられたその名前の通り、リスの頬袋に食べ物を詰めるかごとく知識をむさぼる子供に育った。
天才という訳じゃないが、本が友達、もしくは本の虫という名前がぴったりの人間に育った。
しかも、本というのは……ーー残念なことに、ヲタク系統のものが大半だった。
漫画本やライトノベルといった類いを読みふける毎日。時には読みたいからという理由で学校を休むことさえ、ちょっとあった。
加えてオカルトにも興味があり、気になる本があれば買う始末。誠に賢い人間に育ってほしいと願いはしたが、さすがに大量の蔵書を見れば両親も呆れて売るようにいうぐらいだった。