(以下の会話は日本語訳)
YOU ARE CHRIST?
WHO?WHAT?
(以下の会話は日本語訳)
まあ、ごめんなさい。私ったら…
そのルビーのような赤い瞳を見てつい…
赤はイエスキリストのカラー。“慈愛”の赤なのです。あなたはきっとこの教会に、いいえ。この町に何か重要な役割を受けて生まれたお方に違いありません。
それこそJESUS CHRIST(冗談でしょう?)な話です。
私はしがない下町の万屋ですよ。
さて、では早速仕事の話を。
鑑定を先に致しましょうか?
それとも建物の修繕を先に?
はい。あの天井のステンドグラスをご覧ください。
なるほど。
これは『最後の晩餐』を象ったステンドグラスになっているわけですね。
はい。そして丁度イエス様のお顔の辺りにヒビが…
ああ、はい。あの箇所ですね。
把握しました。
それにしても高いですねえ。
多分、先日の震災の時に入ってしまったヒビなのだと思います。
難しいでしょうか?
倉庫に梯子があるので、それを使っていただければ。
いえ、ただそれなりに高い足場を作らないと届かないですね。
それに一窓分のガラス総張替えになる作業なので、多少大掛かりな作業になると思います。
教会の外側に足場を作っても構わないですか?
ええ!?今すぐやって終わらせて頂けるのではないのですか?
…お言葉ですがシスター。
ローマは一日にして成らず、ですよ?
先ほどからあなた、自分のお国柄と勘違いなさっているようですが世間知らずもいい所ですよ?
この時代だから修理代を備品の下取りで賄おうとするのは良しとしましょう。
だが余りに自己都合過ぎるし、何より通訳なしで一方的に英語で話し立てるのが気に入らない。
そ、そんな言い方しなくったっていいじゃないですか!
いいえ、しますね。
あなた達はこの街の悲しみを知らない。
失礼。今日はとりあえず備品の鑑定だけさせて下さい。品物はどちらに?
こちらになります。
それは珍しい形をしていますね…一体どういう用途の骨董品なのでしょうか?
そんなの私が知るわけないでしょう!?
は?
なんせ私もこのチャーチに来て間もないものですから。
それも含めて鑑定して下さるのがあなたのお仕事でしょう?
だからそういう適当で高圧的な所が嫌なんだよ。
続く