二岡 アライヲ

悔しかったらこのパズルを解いてみなさい、という20世紀からの挑戦状なのかもしれませんよ?

窪中いにお

挑戦状って…アライヲさんはまた話を大きくして~。お客様も待ってることですし勿体ぶらずにさっさと鑑定を…

美しきお客様

もしかして店長さんは祖母の事をご存知ですか?

二岡 アライヲ

なぜそう思います?

美しきお客様

おばあちゃんに本当はこう言われたんです。

「もし私がお嫁に行くまでにこのクリプテックが解けないようならば、骨法院通りにある璃玖堂という骨董屋に持っていてきなさい。手元に謎を残しておいたままじゃ気持ち悪いでしょう?」

二岡 アライヲ

では私も本当の事をお話しましょう。

二岡 アライヲ

それは昔に私…の父、ここの先代から聞いた話なのですが、
どうやら彼はあなたの教会のアンティークを出張鑑定したことがあるらしいのです。

美しきお客様

まあ、そんな経緯が。道理でお店の名前まで指定していたわけですね。

二岡 アライヲ

あれは戦後間もない頃の浅草。
このお店が骨董店を名乗る前に万屋、つまりなんでも屋をやっていまして商品を売るほかにも、
銭湯のペンキ塗りや建物の簡単な補修を生業にしていました。

二岡 アライヲ

さきほど教会の補強について話がありましたが、
実は先代が建物内の備品の修理と鑑定を頼まれて足を運んだことがあったらしいのです。

美しきお客様

あら?という事はやはり補強工事をしていたのですね。
おばあ様、なぜ嘘をついたのかしら?

二岡 アライヲ

聞いた話によると、とても気の強いシスターだったそうで。
父とはあまり折り合いがよろしくなかったそうですよ?だからその…

窪中いにお

借りを作ったなんて事は他人に知られたくない…という心情からですかね?

二岡 アライヲ

いにお君?

窪中いにお

あっ!!

美しきお客様

まあ!それは祖母が大変失礼な事を。代わってお詫びいたします。

二岡 アライヲ

いえいえ、謝る必要などありません。
それはあくまで私たちではなく、上の世代の因果ですから。

二岡 アライヲ

いいでしょう。その鑑定お受けいたします。
但し、もしお客様にお時間があればなのですがそのクリプテックスをみんなで解いてからにしませんか?
ちょうど良い暇つぶしになりますからそうしていただけると助かります

美しきお客様

よろしいのですか?
それはとても楽しそう。うふふ

窪中いにお

お客様まで乗り気になってしまった。
ちょっと複雑だけどここは空気を読んで、僕も謎解きに参加しよう…

二岡 アライヲ

いにお君、あなたはお茶を淹れてきて下さいね。
お客様は何になさいます?

美しきお客様

申し訳ありません。ではコーヒーをお砂糖抜きで一ついただけますか?

窪中いにお

ええ!?
ここに来て僕は除け者!?!

二岡 アライヲ

そう。あれは今から半世紀以上前の事ですね。

昭和二十二年 浅草

二岡 アライヲ

御免下さい。
璃玖堂ですが破損した小窓(ステンドグラス)の修理と備品の出張鑑定にやってまいりました、二岡と申します。

シスター

ハイ…

シスター

OH,JESUS CHRIST!!
(まあ、なんて事なの!?)

二岡 アライヲ

どうかしましたか?

シスター

二岡 アライヲ

日本語覚えてないのか?

二岡 アライヲ

WHAT'S UP,MUM?
(どうしまシスター?)

シスター

YOU ARE CHRIST(あなたはイエス様なの)?

二岡 アライヲ

WHO?WHAT?(誰が?何が?)

続く

20世紀のメロディー その3

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