ソル

(これから、どうすれば良いんだ)

ソル

(さすがに、俺までナイトの世話になるわけにはいけないよな。何か仕事を探さないと……)

ソル

しんどいな

 思わず、声が漏れる。
 それを聞いていた男がいた

どうだい? 
僕は記者をやっている者だが、助手を探していてね。
良い稼ぎになると思うよ

ソル

胡散臭い記者の助手なんてお断りだよ

良いと思うのだけど。
あれ?
君って、この屋敷の子だよね?

ソル

だから?

じゃあ……君は、道具なの?

ソル

はぁ?

ここの夫妻は道具として子供たちを育てているとか……そういう噂があってね……そんなわけはないと……

ソル

それって……ガセネタだろ?
俺たちは道具なんかじゃない

やっぱりガセか………って、ちょっと君?!

ソル

……道具だと……あいつら

ソル

道具なんかじゃないってことを、照明してやるよ

ソル

でも、どうすれば証明できる?

ソル

気に入らない







怒りを何処に向ければ良いのか考えていた。



















考えて、考えて、考えて、考えて、考えて、考えた挙句に辿り着いた答えだった。


正しいのか間違っているかは気にしない、

考えない。

自分に出されている選択肢は、どんなに悩んで頭を捻ったところで、ひとつしかなかったのだから。

ソル

……してやる

二人は床で寝ていた。

酔いつぶれているのだろうか。

部屋の中が酒臭い。

ソル

(嫌な臭いだ……頭がボンヤリとする)

ソル

………とにかく、だ

ナイフを握りしめて目の前の異物を排除する。

害虫を駆除する。



汚れを落として、綺麗にしなければならない。新しい生活の為に、綺麗にしなければならない。





これは当然の義務だ。来た時よりも綺麗にして、出て行かなければならない。

 

ソル

消えろぉ

簡単なことだった。

相手は弱い人間なのだから。

簡単に………

ソル

つまらない、つまらない、つまらない、消えろ、消えろ、消えろ

何度も刺す。

ソル

これで、消えてくれた

動かない二人を前に立ち尽くす。


もう、彼らは動かない。それが嬉しい。五月蠅かった、彼らが放つ騒音も消し去ることが出来たのだ。


これで良い。

全てを消さなければならなかった。




ふと、

周囲が熱を帯びていることに気付く。


熱い……

誰が、火を放ったのだろう。

いつ、火を放ったのだろう。




自分だったろうか、

それもわからない、

でも、これでもっと綺麗になる。
何もなくなって、綺麗におさまるはず。

ソル

ハァハァ

外に駆け出た。

これは、いったい……

火事か?

ソル、何が……

ソル

両親を刺した

!!


周りの野次馬たちが慌て始めた。

な、何だって?

ソル

うるさかったんだよ………あの糞野郎たち……でも、これで静かになる

君、こっちで詳しい話を……

駆け付けた自警団員がソルの肩を押す。

これでいい、これで終わる。

これで、ソルが処刑されれば全て綺麗に消え去る。



そうすれば、あいつらも………

ソル

あれ?

だけど、何かが引っかかった。

胸の奥に、チクリとした何かが刺さる。

大事な何かを見落としている気がする。

こっちに……

ソル、お前ひとりなのか?

ソル

………

それまで高揚していた感情が一気に冷めた。

ソルは自警団の手を振り払って、家の中に駆けこんだ。

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