心地よい風を感じる。

クロガネ

戻って来れた…のか。

いつの間にか俺はベッドの上で起き上がっていた。
一か八かで穴に飛び込んだが、正解だったらしい。

クロガネ

あんまり休んだ気がしないんだよなあ…

一人愚痴を言いながら俺は大きく伸びをした。よし、身体は大分動く様になってるな!

仕切りのカーテンが風で揺れる。

そう言えば今は何時ぐらいなんだろうか。涼しいけど、結構明るいし、もう昼近いのかも
今日はまずリーシャさん達に会いに行くか…

俺は振り返り、壁に掛けてある時計を見た。

クロガネ

…あれ?


無い。

確かに壁には時計が掛けてあったはずだ。なのに無い。

代わりにあったのは大きな傷
まるでドラゴンが鉤爪で引っ掻いたかのようなそれを見た瞬間

俺は悪寒を感じてベッドから飛び降りた。

嫌な音がしてベッドが二つに折れた。

カーテンを突き破り、ベッドだった物に深々と突き刺さっているのは大きな赤い斧。

クロガネ

…マジかよ。

まだ夢を見ているのかと一瞬思った。部屋の中はどこもかしこも傷だらけで、ほかのベッドもバラバラ。窓に至っては全て割れていた。仕切りのカーテンの残骸が部屋を舞う。
一緒に寝ていた人達もいない。


道理で肌寒い訳だよ!!!

何が起こっているのか全く分からないが、逃げたほうがいいのは分かった。

クロガネ

靴は履いてるな。


こういう時はとっとと避難だ!

赤いカーペットに白いスニーカーが映える。

…うん?

カーペット?そんなものあったか?

目を凝らす。

違う
違う違う
これは

クロガネ

《赤い霧》!?

部屋の奥から足音

ウゥラ


呻き声の様なものをあげて斧を引き抜いたのは赤い、人のかたちをした何かだった。

ヒトガタと目が合う。
赤いビー玉のような目

足が震える
足元には赤い霧
俺は動けない。

死ぬのか

こんな所で?まだケモ耳美少女にも会ってないのに?ご飯の恩も返していない。
死んで現実世界に戻れるのか?

そんな保証は無い

試す勇気は…無い。

そいつは俺の方を見て斧を振りかぶり

俺は逃げた

クロガネ

ああああ!!


一心不乱だった。
足が上手く動かなくてもカッコ悪くてもいい。這うように俺は逃げた。

扉の近くで寝ていたのは幸いだった。

扉を突き破るように外に出た

そこは

戦場の真っ只中(まっただなか)だった。

休む間もないんですけど

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