カゴメ中学校を出て、六十部から野沢心について話した。六十部によると野沢心は二年C組に居るらしい。
カゴメ中学校を出て、六十部から野沢心について話した。六十部によると野沢心は二年C組に居るらしい。
早速、行きましょう
待って、鮫野木くん
鮫野木がもう一度、カゴメ中学校に入ろうとしたとき、六十部が呼び止めた。
どうしてですか?
確か、野村先生と話していたときに、三人組がどうこう言ってなかった?
はい、どうやら、俺の友達がここに居てたらしくて、誰かと行動しているらしいです
もしかしたら、私の友達かもしれないわ
それなら、探そうよ。まだ近く居るかも
それは……出来ない
どうして?
……それは
六十部は真剣な表情をしている。
どうして、六十部は友達が近くに居る可能性があるのに探そうとしないんだ。
どうして、紗良ちゃん。友達かもしれないんでしょ?
ええ、でも今は脱出するための手掛かりが、すぐそこに居るの。調べないといけないのよ
で、でも
小斗は藤松、凪佐、そして六十部の友達も探したい。六十部は目の前の目的を遂行しようとしている。どちらも間違っていない。どちらに協力すべきか?
あの、ちょと――
アンタ達、そこで何やってるのさ
鮫野木が話すのと同時に大学生ぐらいの女性が話しかけてきた。
あっもしかして、アンタ達もあの噂を聞いて、来たのかい?
あの、噂って?
ん? なんだ、ここの生徒が消えた事、知らないのかい?
へぇ?
彼女が言う噂はこの中学校で人が死んだ事なのか? それに彼女はNPCか、それとも?
ちょとあなた、誰?
私? 高須紫崎だけどさ?
……そう、高須さん。あなたはこの世界の住民?
はぁ? 何言ってるの? 私は生まれも育ちも、ここだからさ
高須は呆れた様子で地面を人差し指で指した。
あら、ごめんなさい。私は六十部紗良、こっちらの男子が鮫野木淳くん。もう一人が小斗雪音さん
それで、生徒が消えたって言ってたけど、本当なの?
そうそう。あくまで噂なんだけど、ここの生徒数人が突然、消えたらしいんだってさ、怖くない!
消えたんですか?
そう、学校も急に生徒が消えたから、警察に捜索願を出したらしいんだけどさ、未だに見つかってないらしいよ
で、私が聞いた話だと、幽霊があの世に引き込んだらしいってさ
幽霊ね
…………
六十部は静かに呟いた後、黙り込んでしまう。
何々、アンタ達、怖くて声出ない感じ?
嫌、そうじゃないと思います
六十部は考え事をしているらしく、声が耳に入ってきてないようだ。
あっ、やべ。そろそろ会社に行かないと遅れるわ。じゃ、夜、眠れなかったらごめんな!
えっ、ちょと
声をかける余裕も無く、高須は颯爽と立ち去った。
行っちゃね、高須さん
だな
高須が居なくなった後も六十部は黙々と考えている。話しかけたいが雰囲気が邪魔をする。
…………
これからどうしよう
頭を抱え、これからのことを考える。まだ近くに居るで、あろう藤松、凪佐、そして六十部の友達を探すか、野沢心に合うべきか。
それとも噂について調べるべきか。