ひと声かけてから、「懺悔室」と書かれたドアを開ける。
……
あれは、何か月前だったか
入るぞ
ひと声かけてから、「懺悔室」と書かれたドアを開ける。
柔らかい光の射す奥に、一人の男が座っていた。
そのシルエットが、こちらを向く。
……へえ。君が新しい僕の相手?
男は、囚人とは思えない笑顔で、ゆったりと立ち上がった。
前の子に言わなかったかな?
次の子の条件
そのまま、余裕を漂わせて五日町に近づいてくる。
駄目じゃん、こんなところ女のコなんかに任せちゃ
……僕に惚れるよ?
……
男が間合いに入った瞬間――
五日町は拳を突き出した。
!
通常の取調べにおいて暴力などはもっての他、だが――
拳をぴたりと止め、続ける。
特例法により、お前に対し自衛行為としての行動はある程度許容されている。
不要な行動は慎め
寸止めした拳を、下ろす。
……ハハハ!!
男は笑い出した。
気に入ったよ
たしか環ちゃんだったっけ?
話し相手がいなくて退屈してたんだ。サービスしてあげる
聞こう
来るたびにさ、僕の話を聞いて
そしたら残りの時間は、環ちゃんが聞きたいことなんでも教えてあげる
まだ見つかってない子とか、どこにいるか知ってるの僕だけだからね。
余罪だっけ? なんとかしなきゃいけないんだろ?
口約束だな
でも、どちらにも利がある
五日町は男を見据えた。
……ならば、
騙される前提で。騙す前提で。
その話、乗ろう
そうだ、これはさっきの話とは無関係の、ただの質問なんだけどさ
何だ?
誰も教えてくれなくてさ
数奇君……数奇透って生きてるよね?
もし死んでるなら次の恋人決めなきゃいけないからさ
……当然、生きている
そして誰にも殺させない
だから、誰にも「浮気」する必要はないな
信じるよ?
信頼はともかく、信用は得てみせるさ