私は、ラーティン・アスハルト














火星では、諜報機関「サーヴァルフ」のエンジニアとして、研鑽の日々を過ごしておりました







国を護る…という使命感よりは…







単に自分の能力を試す環境を欲していたのだと思ます

















ただ、それだけの…
















何の色彩も帯びない…灰色な人生でした…














…あの方に出会うまでは…




















マリカ@りぴーと

第六話『マリカ@てれぽーてーしょん』
















ラーティン

………

ラーティン

第四期テラフォーミングにより、酸素濃度は史上最悪のレベルに達した…

ラーティン

公にはなっていないが、テランとの戦闘も各地で頻繁に起こる様になって…その情報操作に追われていたっけ…

ラーティン

人手不足のため、現場へ駆り出されるようになり、慣れない潜入捜査を行うことも日常茶飯事に…

ラーティン

そうだ…とうとうある日、ユニコーンに囚われた私は、酷い拷問を受けて…最後は交渉の材料にされかけたよな…ははっ

ラーティン

そして…私を救出するため、軍が突入して…

私はそこで…初めて、ディザールと出会って…


































ラーティン

…!

わ・私は…何を!




以前、聞いたことがある…









生命活動に支障が生じた際、脳が過去の記憶に解決を求めるのだという…





…いわゆる走馬灯というやつだろう





こんなことは初めてだ…恐らく、長期のコールドスリープによる影響なのだろう

ラーティン

くそ!…今更なんだ!

あんな…

昔のことを…!

ラーティン

今…私には大切な…使命が…

……



そして私はまた、過去の記憶を思い出していた…



























フラーラ

…すっごーい!

ラーティンって、物知りね!

ラーティン

そんな事…

姫様にお褒めに預かるとは、恐縮です

フラーラ

ディズは最近、めっきり相手してくれないんだもん!退屈よぉ!

ラーティン

……

ラーティン

ディ・ディザール様は、今では少佐の地位にある方…致し方ございませんよ…

その…わ・私でよろしければ…

退屈凌ぎに…ご一緒に…

ラーティン

…って

いらっしゃらない!

フラーラ

(蝶を追いかけるフラーラ)






私が、姫と出会ったのは、ディザールの勧めで王室の学習院で物理の授業を教えに通っている時でした







数名の学友に混じり、フラーラ姫がご出席なさっていました






その姿は誠にお美しく…私など始め、正面から直視ができない程でした









そう、私が姫に抱いた感情は…











淡い恋心…












叶う見込みなどない…まさに高嶺の華…












私のような、卑しい身分の者など、相手にされはしない…











諦めよう…


…いつも、そう自分に言い聞かせていましたが…













結局、抑える事が出来ないでおりました…



































ディザール

ラーティン殿

ラーティン

はい、ディザール様

ディザール

…最近ユニコーンに不穏な動きがありますが、何か聞いていますか?

ラーティン

はい、表向き交戦回数が減少傾向ですが…

むしろ、危険です…裏で工作活動…との情報もあります故

ディザール

…そうですか…

連邦とテランが共同で行うという、例の話し…これは、ただの噂ではございませんね、フラーラ姫

フラーラ

…地火共同テラフォーミング…

『テラマーズ計画』…

ここ最近、ずっと酸素濃度が異常値を指したままだわ

このままだと、アイメスは…火星はダメになっちゃうよ…

ラーティン

ああっ…かわいそうなフラーラ…

何か、お役に立てないものか…






































フラーラ

ううう…お父様!

お母様ああああっ!

ラーティン

姫!

早くここ<王宮>を離れないと危険です!

ラーティン

なんという事だ!まさか、政府が裏切るとは!

ディザール

これで我々は、叛逆者…お尋ね者という訳か…
うまくやったものだな…

ディザール

クシュナ様、スターナル様…さぞ、ご無念にあらせられましょう…

フラーラ

うわぁぁぁぁぁっ!

ラーティン

おのれ…おのれ!

よくも…よくもぉぉぉぉっ!













…日に日に酸素濃度が増す中、我々は追手から逃げる様に、各地にある地下遺跡を転々と隠れ住むようになりました…








そして、我々は火星を追われ…

…敵の星、テラへと亡命…














そして…
















とうとう『運命の日』を迎えたのでした

















フラーラ

泣かないで…ラーティン…

ラーティン

…うわぁぁぁぁっ!

姫!…姫!いやだ!…死んじゃダメだ!

ディザール

フラーラ!

もう少しで支部に着きます!

辛抱するのですよ!

敵の罠により、深手を負い瀕死の姫をディザールが車でマーシアン支部へ搬送していた…

フラーラ

ははっ…

もう、ダメ…だよ…うくっ!

か…下半身…なくなっちゃてる…もの…

フラーラ

チ・チップも…壊れちゃって…ふ・船にも戻れ…いし…

フラーラ

奴らの…狙いを…やっと掴んだ…のに…

…悔しい…な

フラーラ

…リンネ…システムを…使うわ


火星に転生…して、あれを止めなきゃ…

ディザール

フラーラ!

フラーラ

ごめん…ね…

ディズ…今まで、あり…がとう


…大…好き…だ…よ

ディザール

………

ラーティン

…!!フラーラ姫!?

フラーラ

………………………………………

ラーティン

あっ…あああ…

ラーティン

あああああああああっ!

ラーティン

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!


































ラーティン

ディザール!

ディザール

ぐっ!

ラーティン

なんでだ!…なんで涙ひとつ…

ラーティン

なんで……愛してると言ってあげなかった!

ディザール

………

ラーティン

…こいつ!

何とか言えよ!

ディザール

……!

ラーティン

ちくしょう!…ちくしょう!

ディザール

…すまない…

ラーティン…











ディザール

すまない…




















ディザール

…フラーラ…


















その後、姫が火星ではなく、地球の…日本へ転生したことが判った…

















ラーティン

……



姫が、この街を訪れると予測していた我々は…





ユニコーン共の通信を傍受、姫の情報をリークし続け…





ようやく、姫を見つけ出すことができた




マリカ

ラーティンも…

だけど、実感は…なかった

ラーティン

…姫…













たまらなく嬉しいはずなのに…
















なのに、私の想いは複雑でした…


















なぜなら、あなたは…ディザールを…心から愛していらっしゃるのだから…
















そして……ディザールもまた、あなたのことを…



















最低だ…


















つくづく自分が嫌になる…
















チカ

え?え?…皆さん?知り合い?

あ…






あ…ああ

そうだ、チカさんだ…






憎むべきテランの女性…






…我々の新しい仲間


チカ

ラー様!

私の事を、おかしな呼び方で呼んで…

チカ

そして、それは多分運命なんだって

前向きで、思い切りがあって…




とても可愛らしい、素敵な女性です

チカ

…時間は見てます!

時間…?





何のこと?

チカ

頑張って!ラー様!

頑張る…?







一体、何を…?








































ラーティン

はっ!

ラーティン

そ・そうだ!

思い出した!

思い出したぞ!

ラーティン

あ・あれから、どれぐらい時間が経ったんだ?

ラーティン

じゅ・十三分…!?

残り二分…

……

ラーティン

まだいける!

コールドスリープのベッドから這うように出てくるラー様


ここが、微重力でなければ身動きさえできていないのでしょうが、宙を移動し何とかコントロールパネルの前に来ることが出来たようです

ラーティン

システム正常に起動!

…通信機能復帰!

よし!

ラーティン

…チカさん!聞こえますか?

ラーティンです!

チカ

あ…ぐす


ラー様?


聞こえてます!

ああ!よかった遅かったから心配してましたよ!…うう…

もう、こっちはめくちゃ…で…ひっく

ディザールさんが…ディザールさんがぁぁぁ!

ラーティン

え??よく聞こえません!

チカさん!落ち着いて下さい!

激しい、発砲音と私の鳴き声で、あまりラー様に状況が伝わらないみたいです

ラーティン

チカさん!今、設定中で…

あと30秒ほどで転送設定は終わりそうです!

転送装置は無事ですか?

チカ

はい、大丈夫みたいです


充填も完了済みです!

ラーティン

姫はお側に?

マリカ

もおおおおおっ!

ラーティン!おっそーい!

ラーティン

も・申し訳ございません!姫!


…設定が…今、完了しました!

ラーティン

フラーラ姫からどうぞ!

チカ

マリ…ちゃ…き…(プツン)

ラーティン

!?

ラーティン

通信が切れたか!

…くそ!この大事な時に…

ラーティン

姫!チカさん!

どうか、ご無事で!

そして、しばらくしてはじめのテレポーテーションが始まりました

ラーティン

……

ラーティン

くっ!







あたりには白いキラキラした光が不規則に飛び回り、時折、放電現象が起こり、パリ、パリと音を出してる









ドライアイスのような霧に覆われ視界が悪い状態です




















はじめに、テレポーテーションして来たのは…





























チカ

ぷはああっ!!
















私と…














ラー様の素体でした


















第六話「マリカ@てれぽーてーしょん」



◆次回予告◆

チカ

さーて、来週のマリカさんはー…

フラーラ

はーい!

フラーラ(素体)でーす

チカ

いやいや!
お呼びでないよ!そこ!

フラーラ

ちょっと、借りてきちゃいましたー

やっぱいいわーこのカラダ(爆笑)

今日はこのままやっちゃいましょー!

フラーラ

来週は、地球で最後の戦闘です

変態チンピラキャプテン由比 才一郎と、冷血火星人ソルジャーディザールの一騎打ち!

フラーラ

ナハム・アハトの乱用による、激しい戦い!

ディズとの因縁の過去…!

そして、…決着!

果たして、生き残るのは一体どっちなのか!?

チカ

次回マリカ@りぴーと

第七話「マリカ@まーがれっと」

お楽しみにー!

マリカ@りぴーと  第六話「マリカ@てれぽーてーしょん」

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