「ミッションを伝える…」
ディザールさんは、そう切り出しました…
仲間となった私と、フラーラに本作戦概要を説明するのだそうだ
「ミッションを伝える…」
ディザールさんは、そう切り出しました…
仲間となった私と、フラーラに本作戦概要を説明するのだそうだ
目標は、月衛星軌道に停泊している宇宙船に搭乗し、火星に向かうこと
だが、現状では不可能なこと
理由は、船へジャンプするには、『直接船側で設定変更』が必要であるためで、その作業が可能なのは、機械に強いラーティンさんのみ
方法は、ラーティンさんの魂を、素体から月衛星軌道の船に一旦戻して変更作業を行う
ただ、ここでいくつか問題が…
素体から魂が離脱した状態だと、素体の生命維持が困難になる
10分前後で素体の生命活動が急速に低下、やがて停止する
停止後、3分で蘇生しなければ、体に障害が残る確率が増し、それ以上だと素体は破棄となる。
ミッション時間は、およそ13分〜最大15分と、かなり短め
一番の難関は、コールドスリープから自力で覚醒し、設定を変更しなければならないところなんです
もしも、うまく覚醒が出来なければ、ミッションは失敗…貴重な素体を失い、地上での活動が出来なくなるばかりか、悪くするとラー様が死んでしまう可能性だって僅かだがあるそうです。
地上に素体を保存する環境はなく、危険だけどこの手順で行うしか今は方法がない…
果たして、ラー様の…いや…
…私たちの運命は如何に!
マリカ@りぴーと
第五話『マリカ@みっしょん』
ところでラー様
一体どうやって魂だけ実体へ戻すのよ?
意外に簡単ですよ
素体の体には、チップが埋め込まれていて、その機能により、例えると『緊急脱出』のように実体へ戻れるんです
へー
でも、危ないんでしょ?
なんだか心配だな…
はは、ありがとうございます
ですが、大丈夫です!
緊急時に対しての訓練を受けていますので…一人でも覚醒作業は行えます
ラーティン!
君の記録では10分台だったが、本番で力を発揮できるとは考えん方がいいぞ
…はっ!
も・申し訳ございません!
うむ
では、そろそろ準備は良いか?
はっ!
では、チカさん、お願いします
え?…は・はい!
そ、そっか!私が時間管理する役だった!
ラーティン…
お願いね
はい、姫!
では、行ってまいります!
その時でした…
おーし!
ディザール!そこにいんだろー?
出てこいよ!(火星語)
突然、外から拡声機でそう叫ぶ男が現れた
ユニコーン隊長、由比 才一郎である
……!!?
え?…な・何?
誰ですか?ディザールさん
お知り合い?
私が、思わず窓から外を見ようとすると…
!!
チカ!危ない!
…ナハム…
え?
ディザールさんはまた、すごいスピードで私のところへやって来て、なにやら唱えると、右手を私に向けかざした
私がびっくりして後ろを振り返った、その時…
きゃっ!
……
…あと数センチでした
よく見ると、目の前に見慣れない鉄の塊が止まって、くるくると回っていました
たはー!
惜しい!
ディ・ディザールさん…
なにこれ…?
私…もしかして
う・撃たれた?
チカ!軽率な行動は避けてください!
は・はいぃ!
ラーティン
急いだ方がいいようです
よりによって、奴が…
ユイ・サイイチロウ…ですね
来日していると聞いてはいたが…
うおおおっ!
こえええっ!
聞こえるー?
そこにいるんだろ?
フラーラ姫ぇ!
久しぶりに話ししようや?(火星語)
あああああああっ!
サブイボがぁぁあ!
私、あいつ大っ嫌い!
ちょっと!マリカちゃん!
あいつって誰よ!
プロジェクト・ユニコーンって軍隊の隊長よ!
火星にいた時、私たちの国をめちゃくちゃにした男なの!
お生憎!
私は、あなたと話すことなんてないわよ!
バーカ!
マリカちゃんは、拡声機に負けない…と言うか、確実に勝った声量でそう叫びました
おおっ!
へへへ、元気いいじゃん!おっちゃん。安心したぜ
ガキいたぶるのは、趣味じゃねーが
まぁ、後で、たっぷり、可愛がってやんよ!
キャプテン
今のは、刑法181条に抵触する恐れのある発言です
速やかな撤回を要求します
……
…奴は恐ろしい男です
私でも勝てるかどうか…
ディザール!私も…!
いや
君は計画通りに…
ここは私でなんとかしよう
何か都合の悪いことがあったのか…
手元の時計のような機器を見るディザールさんが、一瞬、眉間にシワを寄せた様に見えました
さぁ!ラーティン!
急ぎましょう!
皆さん!
お気をつけて!
じ・時間見てます!
ラー様!頑張って!
(ニコ)
ラー様はそう笑ってみせると、そっと目を閉じました
で、では
カウントダウンします
私は手元の時計をストップウォッチモードにするとカウントダウンを始めました。
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
・
・
・
スタート!!
ストップウォッチをスタートする。
すると、ラー様は一瞬ビクッと体が反応させると、そのままグッタリとしてしまった。
………
…せ・成功した…の?
うん!多分!
チカさん、お願い!ラーティンの体を安全なところへ移して!
あ…う・うん!わかった!
まだ温かいラー様の素体を抱えると、転送装置付近の柱と壁付近にそっと移動させました。
おいおい
出てこねーなら、こっちから行くぜ?
由比はそう言うと、隊員達に片手を挙げ指示を出しました
まずい!
ここで戦う訳にはいきません!
チカ、フラーラ!フロアを変えましょう!
はい!
わかったわ!
フラーラ!
これをどうぞ!
ディザールさんは何かをマリカちゃんに投げてよこしました
え?
あ…うん!
それを受け取るマリカちゃん
見ただけで何かはわかったみたいです
チカ!
フラーラとラーティンを頼みますよ!
私は、奴らを引きつけてきます!
では、後ほど1階フロアで合流しましょう!
そう言うとディザールさんは一人で窓の外へ飛び降りました
ディザールさん!
大丈夫!
ディズにはナハム・アハトがあるから!
ナハム・アハト?
重力兵器のことよ!さっき見たでしょ?
鉄砲の弾だろうと何だろうと効かないし、そんなのよりも遥かに強力な武器のことよ!
さぁ!私たちも行きましょう!
あわわわわわわわ…
私は慌てつつも、ラーティンさんの素体を白い布で隠し、マリカちゃんを追って1階フロアへ向かったのでした
その頃、月衛星軌道上
ステルス母艦「ボルドノア」船内
…ピッ…
……
…ピッ…
…う…
…ピッ…
…!
はっ!
ハァッ、ハァッ、ハァッ…!
ここは…
…私は一体…?
どうやら、この男性がラーティンさんの実体のようです
コールドスリープから覚醒し、頭がまだハッキリとしない…
く!
お・落ち着け、落ち着け!
私は何をしに…ここへ!
…うぅっ!
ラーティンさんは、蘇生のショックで一時的な記憶障害を起こしていました
既に手元の時計で4分が経過…
残り時間…後11分
非情にも、刻々と時間は過ぎていくのでした…
第五話「マリカ@みっしょん」
終
◆次回予告◆
さーて、来週のマリカさんはー…
はい!
マリカです!
来週は私たち、ほとんど出ないんですよねー
そーそー
ラー様の過去のお話しなんですよねー
はい!
場面ごとに時系列で区切って、紹介していく構成になっていまーす
わ・私の知らない、ラー様…
(ゴクリ)
実体の、あのお姿…はぁ〜キュン死にしますなぁ〜(妄想)
そんな、大したもんじゃねーよ
あのもやし
なっ…!
来週のマリカ@りぴーと
第六話『マリカ@てれぽーてーしょん』
お楽しみにー!