一條

なに??

弁当を食べ終えて、二階堂から帰れアピールをされてとぼとぼと教室に帰ると、見知らぬ女子と話している一条がいた。

いや、なんでもない

きっとこの少女が三村さんなんだろう。

三村

え?え?

はい?

三村

むっちゃんが!
むっちゃんが!
男の人と話してる?!

そりゃ話すでしょう。
隣の席なんだもん

三村

きゃー!恋!?
ロマンスの始まり?

はじまらん始まらん

三村

わかんないじゃないですか!?

えー

一條

弥生、金島君引いてるから

!?

一條

今俺の名前読んでくれた?

一條

名前というか苗字ね

なんならいっそ涼君でもいいぞ

三村

何テンションあげてんでんすか!
むっちゃんはあたしのですよ!

うるせぇ、高校に入ってやっと隣のやつに名前呼ばれたんだ!
嬉しくて当たり前じゃねーか

三村

はん!
金島君なんてどうせ中森君に懐柔されてしっぽ振ってる犬でしょうが

ああ!?
なんでお前がそこまで俺のこと落とすんだよ

三村

確かに言い過ぎましたね、ごめんなさい

お前、情緒不安定なのか

三村

悪いことをしたら謝れる。
それがいい女の条件です

そうか、ならお前はいい女なんだな

一條

ねぇ、金島君、この子誰だか知ってんの?

あ?
あれだろ、役員の……

一條

??

三村

三村

み?

み……むら?

三村

はーい!正解です!
ぶっちゃけ金島君あたしの顔知ってるとは思いませんでしたけどね

ため口で話せよ、気持ち悪いな

三村

初対面の人だから気を使ったのに!

ついでに、顔は知らんかった

三村

何!?

一条の友達は東宮さんと三村さんだけだと中森から聞いた

三村

むっちゃんの一番の友達はこの私!

はいはい

一條

ねぇ、弥生

三村

何、むっちゃん!

一條

予鈴なっちゃうよ?

三村

ひぃぃぃ!

三村

じゃあ、さっきのことはちゃんとみや子ちゃんに話したからね

一條

うん。
私の方から中森君には言わなくていいのね

三村

うん!
ただ画像だけあたしに送っておいて!

三村

じゃあねー!

そういって、三村さんは教室から出ていった。

……嵐だな

一條

……でも明るくていい子でしょ?

そうだな

一條

……

三村さんがいなくなった俺たちの間には会話がなかった。

俺たちは無口なのかもしれない。
いや、もしかして。
俺が会話する能力がないのかもしれない。


予鈴が鳴り終わった。
生徒たちは慌てて席に着く。
今から午後の授業が始まる。
そう思って教科書を準備する。
先生が入ってきた。


高校生の日常はこうやって、チャイムによって区切られている。
隣を見れば、一条はさっさと授業が始まらないかしらといった顔をしていた。


俺は、ふと窓の外を見て慌てて先生に言った。

頭が悪いので、保健室行ってきます

完全にテンパった俺がいた。

4時間目:不自然な関係も

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