学校は騒然としていた。
 
他校生が起こした暴力事件に、女子生徒が巻き込まれたとあれば、さすがに序列の世界でも、許されることではなかった。
 
学校は主犯が紫穂ちゃんであることまで突きとめた。
 
そして、芋ずる式に碧ちゃんと翠ちゃんの名前が出てきた。

っていうところまでが、今学校で起きてるとこ

絢香

へー、私がもっと早く他校生に攻撃されてれば攻撃はやんだのかな

いや、それはないと思う

絢香

やまないか

むしろ今現在もあなたの机はボロボロ

絢香

ちょっと容赦なさ過ぎだよね。
私、今、入院してる

来週から学校来るって噂聞いたから

絢香

うん。
そろそろ心も穏やかになったし

……千裕君は会いに来た?

その質問には、笑顔で無言を通させてもらった。
 
あたしは、あれから千裕には会ってない。
 
あたしが千裕の連絡を無視することはあっても、千裕があたしの連絡を無視したことなんてなかったのに。

絢香

千裕って処分停学でしょ?

うん

絢香

あれはなんかこう、正当防衛の親戚の感じにならないの?

うーん。
まぁ、相手他校生だしね

絢香

よく分かんない!

まぁ、千裕君の運のなさに完敗だよ

絢香

……私のせいじゃないっていいに来そうなのにね

それほど、絢香ちゃんの悲鳴がすごかったんじゃない?

自分を責め立てるほどに

ちらっとあたしを見る牧。

絢香

やだー、何よー、自分は和博の足だったから、わっかんないかもだけど、死ぬほど痛かったのよ!?

知ってるよ、カメラマイク割れしてたもの

絢香

!?

だから、千裕君も相手殴り飛ばしたんでしょ

絢香

それで思い出した。
ドアの修理費って千裕なの?

そうみたいよー。
だって壊したの奴だから

絢香

……お母さんに一言教えとこ。
お礼しなきゃ

コンコンと、ドアが叩かれる。

絢香

はい

返事をすれば、仲の良いみんなが入ってくる。

病院くらいばれないかなって

学校の外だし

拓也

僕は図書館のついで

長嶺

俺、島崎さんに会いに

絢香

和博お前は帰れ

あ、絢香ちゃん。
朗報だよ

和博を華麗にスルーした牧が携帯を確認しながら顔を上げた。

翠ちゃんと紫穂ちゃん退学処分

絢香ママ切れてたもんね

絢香

あんなに切れた母を見たのは久々だったわ

拓也

え?南波悠美は?

絢香

碧ちゃんも無罪放免?

いや、その二人は、停学

拓也

すごいね、僕たちの学年

拓也

2位と4位が停学なんて聞いたことないよね

絢香

……わ、私のせいじゃないわ

流れた沈黙に弁明するように言えば、みんなに笑われた。

そのあと、お土産にもらったたくさんの果物みんなに分けていると、牧が聞いてきた。

被害届出すの?

みんな沈黙する。

絢香

出すよ。
ていうか、もう出してる

誰の分?

絢香

実行犯と翠ちゃんと紫穂ちゃん

碧ちゃんは?

絢香

あの子、私には何もしてないもの

その理論で南波も出せないのかー

絢香

でも、次、学校行った時に、全部おわらせる

うん

拓也

見守ってる

決意をみんなに伝え、それからみんなが帰った夜。
 
私の部屋に千裕がやってきた。

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