授業中、隣から小さな紙が飛んで来た。
紙を手に取って開くと、千裕からだった。
“髪の毛、大丈夫?”
“大丈夫。覚悟を決めただけ”
“切らせちゃってごめん”
“なんであんたが謝るのよ”
“だって、守れなかった”
数回やり取りをして、その言葉であたしの手が止まった。
守ってくれてたよ。
ずっと、そばにいてくれて、あの時だって助けに来てくれた。
千裕は全然謝る必要ないよ。
こうやって、今でもそばにいる。
それだけで、あたしはすごく強くなれるんだよ。
いったん書いて恥ずかしくてポケットにしまった。
そもそも、隣の席が千裕になったのだって、みんなが離れてしまって、独りぼっちになりそうなとき、隣の席の子を脅して、ついでに先生にまで話を付けて移動してきてくれた。
そこまでしてくれてるのに、これ以上何を願うっていうの?
隣の席を見れば、千裕は止まったメモ用紙が入っているポケットを見ていた。
トントンと机を叩けば、視線を合わせてくる。
口パクで伝える。