学校に行くと、和博が怪我をしたのはすでに噂になっていた。
汚い靴箱を掃除して、教室に入ると汚い机が目に入った。
少し考えて、別に落書き消さなくてもいいかと、机の中に入っているモノだけ袋に入れる。
昨日、匠と拓也からメールを貰っているから、ダメージは少ないけど、朝、この時間一人きりというのはちょっと、心もとない。
学校に行くと、和博が怪我をしたのはすでに噂になっていた。
汚い靴箱を掃除して、教室に入ると汚い机が目に入った。
少し考えて、別に落書き消さなくてもいいかと、机の中に入っているモノだけ袋に入れる。
昨日、匠と拓也からメールを貰っているから、ダメージは少ないけど、朝、この時間一人きりというのはちょっと、心もとない。
あ、松崎がまた学校に来てるー!
学校には、毎日来るもんでしょうが
悠美にあんなことしといてよく学校来れるよなー?
うるせぇ、黒田
さすがに、昔不良やってただけあって口が悪いなぁ、松崎は
はいはい。
口が悪くてごめんなさいねー
昨日、長嶺が怪我したのもお前のせいなんだろ、疫病神だよな、お前
そういってあたしの机を蹴飛ばしていった黒田君。
ほんと、男子がいない前ではあたしにやりたい放題なんだから。
あきれて、黒田君を見ていると、すぐに悠美に報告に言っていた。
忠犬だなぁと見ていると、悠美は意を決したように、立ち上がってあたしの方に来た。
予想外の行動に、驚いていると、悠美は目の前で止まる。
絢香ちゃん、ちょっと二人だけでお話いいかなぁ
……。
あなたの安全を考えると、他の3人も連れて来た方がいいんじゃない?
確かに、絢香ちゃんと二人になるのは悠美も怖いよぉ。
でも、二人じゃないと話してくれない話もあるでしょぉ?
いいわよ。
行くわよ。
いけばいいんでしょ
半ば強引に連れ出されたそこは、屋上だった。
あたりを見回して、悠美は微笑む。
ごめんね、絢香ちゃん
何に対して謝ってるの?
悠美、何にも止められなくてぇ
気にしないで
ここ、今だけは何にも仕掛けられてないし、好きに話せるよ
……何が目的なの?
目的も何も、悠美はよりよい学校生活を送りたいだけだよ
奇遇ね、私もよ
悠美は、ちらりと時計を見て慌てたように口を開いた。
絢香ちゃんと探りあいしてる時間そんなにないね。
あと10分で予鈴だ
そうみたいね
あのね、絢香ちゃん。
そろそろ観念したほうがいいと思うの
理由が知りたいわ
桐山先輩っているじゃない?
あの人、とってもやさしいの
ああ、2年生も絡んでるっていいたいだけか。
知ってるよそんなもん。聞いてたし。
観念って、具体的に私はどうすればいいのよ。
みんなの前で謝ればいいの?
ううん。
そんなこと、してほしくない。
学校に来なくなっちゃえばいいんだよ
……悠美はなにが望みなの?
あたしは高位にいたいの。
友達を守るために
松崎絢香はそんなに邪魔?
ううん。
あなたじゃない。
邪魔なのは1位よ
不敵に微笑んだ悠美は腕時計を指さした。
そろそろ時間だねぇ
そうみたいね
さ、教室もどろぉ?
最後に一つだけ
いいのぉ?
耳を軽く指さす悠美。
誰かが聞いている可能性があるってことだと思ったけど、それでも一つ聞いときたい。
あなたの好きな人は誰?
ん?それは一人だけだよぉ?
そういって、悠美はドアの方に歩いていった。
誰かと明言しなかったことに少しだけ疑問を覚えたけれど、それを追求する時間なんて、今はなかった。