昼食は楽しかった。
あの後、何人かの生徒と質問しあい、海道の作ったハンバーグを食べて悶絶する時雨先生を眺めたりしていた。
いろんな人と会話していくうちにやっぱり岸ノ巻の人々は温かいと思った。
昼食は楽しかった。
あの後、何人かの生徒と質問しあい、海道の作ったハンバーグを食べて悶絶する時雨先生を眺めたりしていた。
いろんな人と会話していくうちにやっぱり岸ノ巻の人々は温かいと思った。
これでお開きでいいかな?
殆どの生徒が食べ終わったのを確認した渚が言った。
えー、もう終わり?
水澤が不満をたらす。
だって、みんな食べ終わってるし、他の人の都合も……
二次会やろうよ!
突然江岸が叫びだした。
二次会?
うん。夜にみんなで集まってパーティーするの!ついでに岸ノ巻の人全員で!
無茶苦茶だ。
渚の顔にはそう書いてあった。
実際、俺もそう思った。
この人数ですら厳しいのに、市の人間全員の中でいるのはまさに拷問だ。
頼むからこれで終わってくれ……。
不可能ではないですよ
唐突に隣から声がした。
浦部先生だった。
岸ノ巻の人々の情報拡散力は素晴らしいものがあります。そして、市民は大事な新参者の為に無理矢理予定を空け、集まってくれるでしょう
いつも通り不敵に笑いながら続ける。
実際、2年前も同じことがありました。慰安旅行に来た若い女性を市をあげて歓迎いたしましたから
慰安旅行ならそっとしておいてやれよ…。
どうですか、先生
判断に窮した渚は時雨先生を見る。
時雨先生はすぐに頷いた。
無理に来てもらう必要はないけど、どうせならみんなで祝いましょう
途端に歓声があがった。
クラスのほぼ全員が拳を突き上げていた。
あげていないのは俺と先生だけ。
じゃあ、場所どうする?
海道の問いに淡野が言った。
綾瀬さんの家は?料亭なんでしょ
途端に綾瀬たつきがビクリと反応した。
顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
な…なんで私なの!?うちはそんなに広くないし、市の人みんな入らないし!馬鹿じゃないのあんたたち!
一気にまくし立ててると、偶然俺と目があった。
耳まで赤くなり、急にモジモジしだす。
で、でも…転校生の為だからね…。勘違いしないでよね……。今日は予約が少ないだけなんだから…!
ツンデレかよ……
みんなが喜びに浮かれる中、俺は一人拳を握った。