五日町

……さて。
久しぶりだな、時田真白

時田

あー……久しぶりって言えばいいのかな、五日町警部

時田は居心地が悪そうに身をよじった。
右膝で貧乏揺すりを始める。

五日町

御託は不要。どうせまだ、任意の取り調べだ

五日町は組んでいた腕を解いた。

時田は、その動作にやや委縮したように縮みあがると、目をそらす。

五日町

だが、一つだけ聞かせろ

時田

何、かな?

お前、“子供”なんだろう?

時田は唇を湿らすと、ずっと揺れていた膝に右手を置いた。

膝頭を強く抑え込むように、力を入れる。

時田

……さすが、女帝(クイーン)



縮めていた身を広げ、背筋を伸ばす。


五日町には身長では及ばないものの、先ほどより一回りも大きくなったように見えた。

それを言われちゃ、黙ってられないな

時田は、背もたれにゆっくりと背をもたれかけさせた。






……そうだよ。
僕は“子供”。
少なくとも、そう自負してる

五日町

それだけ聞けば十分だ

五日町は立ち上がった。

それだけで良いのか?

……

五日町は、問いかける時田に応えないまま、隣にいた刑事に合図を残して出た。

時田

ああ怖かった……

時田は、先ほどまでの余裕と笑顔を嘘のように消し、また身を少し縮めた。

‡3.5 まだ幸せでいる ―ⅳ

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