神谷さんにお祓いをしてもらったあと、体がふっと軽くなった気がした。
それに姿が見えなくなっていたとはいえ、ほんの少しでも感じていた優美子さんの気配も無くなった。
それから、神谷さんから腕輪のようなモノを貸してもらった。
細部にまで文字が描かれた代物は、とても表面が滑らかな石の腕輪だ。ぱっと見ても、変哲なものはない。でも、俺なんかに貸すなんてもったいないほどに凄い代物だっていうのが分かる。
匂いが、無いのだ。
この腕輪で穴のあたりをぴったり覆った途端に、今までほんの僅かでも感知していた嫌な匂いが綺麗さっぱり無くなった。
この部屋が、とても神聖でちょっとお線香の香りがする場所だなんて、居座ってから一時間も居るのに初めて気づいたのだ。
なんというか、嵌めただけで分かる。
この道具、かなり価値が高くて俺なんかが使うのはもったいない。もったいないと言うか、使う人間として相応しくない。