このこ、かわいいです

こっちのこもかわいいです

プロデューサー

楓? 何を見てるの?

ねこの写真集をみています

プロデューサー

猫の? 楓は猫が好きなんだっけ?

はい。ねこはいいです。しずかですので

プロデューサー

静か?

はい。いっしょにいても気をつかいません

いぬはいつもあそびたがるので気をつかいます

おさんぽですか、とか、ボールですか、とか、えさですか、とか、気が気じゃないです

そのてん、ねこは気ままです。気をつかわず、なんといいましょう、ありのままの自分でいられる、そんなあいてです

プロデューサー

まるで理想の結婚相手みたいに言うね・・・・・・

たまに楓は本当に中学生なのかと思ってしまう。

いつも熱いお茶を飲んでるし、つい縁側で猫を膝に乗せてのんびりしているお婆ちゃんを想像してしまう。

ねこは集会がすきです

プロデューサー

猫の集会か・・・・・・まるで見てきたようなことを言うんだね

たまにさんかしますので

プロデューサー

え?

プロデューサー

さ、参加? えっと、猫の集会に?

はい

プロデューサー

楓が?

いけませんか

プロデューサー

いや、いけないことはないけど・・・・・・。て言うか、その、人間も参加できるんだ?

ねこはやさしいので

プロデューサー

そうなんだ・・・・・・

きょうもこれから集会があります

プロデューサー

そ、そうなの?

もうすぐ時間なのでいかなくては

*    *    *

つかさ

それで、楓ちゃんが心配だからわたしに着いてきてほしいと?

プロデューサー

そう・・・・・・なんだ

プロデューサー

楓はミステリアスなところがあるから・・・・・・。もし、何か危ないことをしてたらと思うと心配で・・・・・・

つかさ

うふふ、プロデューサーは優しいですね?

プロデューサー

いや、ただ心配なだけだよ

プロデューサー

それより、つかさをつき合わせてしまってごめん

つかさ

あらら? 構いませんよっ? うふふ

プロデューサー

えっと、何でつかさは嬉しそうなの?

つかさ

・・・・・・プロデューサーは困ったらわたくしに頼るのですね?

プロデューサー

え?

プロデューサー

い、いや、どうかな・・・・・・。でも、そう、かもしれない

つかさ

嬉しいのです! では、これからも困ったらわたくしに言ってくださいね?

つかさ

絶対ですよ?

プロデューサー

ん? あ、ああ、ありがとう。優しいね、つかさは

つかさ

あ、見てください! 楓ちゃんのまわりに猫ちゃんたちが集まってきました!

つかさ

プロデューサー。見えないようにもっと奥に隠れましょう

プロデューサー

あ、ああ

みなさん、こんばんは

猫たち

にゃーん。にゃーん

ごきげんですね。よかったです

猫たち

にゃーん!

プロデューサー

・・・・・・ちょ、ちょっと待って、いま楓会話した・・・・・・? 猫と会話したよね!?

つかさ

プロデューサー? 落ち着いてください。わたくしだって猫ちゃんを見たら声くらいかけます

プロデューサー

そ、そうなのか・・・・・・?

つかさ

そうです。だからもう少し様子を見ましょう

プロデューサー

ああ・・・・・・ところでつかさ、僕にくっつきすぎじゃないかな?

猫たち

にゃーん! にゃーん!

なるほど。だからたのしそうだったんですね

猫たち

にゃーん!

にゃーん

プロデューサー

いま楓鳴かなかった・・・・・・? 鳴いたよね・・・・・・!? にゃーんって!

つかさ

落ち着いてくださいプロデューサー!

つかさ

わたくしだってたまににゃーんくらい鳴きます!

プロデューサー

そ、そうなの・・・・・・? 女の子って鳴くんだ・・・・・・?

つかさ

もう、いけませんよ?

つかさ

プロデューサーは、自分の担当アイドルのことになるとすぐ取り乱すんですから・・・・・・

プロデューサー

ご、ごめん・・・・・・

つかさ

でも、わたくしも思い出したことがあります。・・・・・・ケットシーの伝説をご存じですか?

プロデューサー

ケットシー?

つかさ

はい。昔にお屋敷の書物庫で読んだことがあります。アイルランドに伝わる民話で、ケットシーとは猫の妖精です

つかさ

ケットシーは二本足で歩き、人語を話します。普段は人間の姿に化けているとも言われます

つかさ

猫の妖精界には王様がいて、人間のような階層構造があるそうです

プロデューサー

猫の妖精か・・・・・・

今日は王さまはどうしたのですか

猫たち

にゃーん・・・・・・

そうですか・・・・・・それはざんねんです

・・・・・・あれはよいねこさんでした

プロデューサー

・・・・・・いま楓、王様って言わなかった・・・・・・?

つかさ

・・・・・・言った、かもしれません

つかさ

まさか・・・・・・いえ、そんなはずは

プロデューサー

つかさ? どうしたの?

つかさ

・・・・・・はい。ケットシーに関する民話はこういうものです

つかさ

満月の夜に猫たちがお葬式をしていて、”猫の王様が死んだ”と人の言葉で言うのです

つかさ

それを一人の農民が見ていて、家に帰ってそのことを妻に話すと、暖炉の前で寝ていた飼い猫が飛び起きます

つかさ

そして言うのです。”それなら次は自分が王様になる番だ”

つかさ

猫はそれきり家を飛び出して、二度と帰ってこなかったと言います

プロデューサー

そんな・・・・・・

ふふ、にゃーん

猫たち

にゃーん。にゃーん。にゃー。にゃー

にゃー

プロデューサー

楓のまわりにどんどん猫たちが集まってくる・・・・・・!

プロデューサー

まるで新しい王様を迎えるみたいに・・・・・・!

プロデューサー

楓が・・・・・・猫の妖精・・・・・・?

つかさ

プロデューサー! 申し訳ありません! わたくしの話は忘れてください!

つかさ

楓ちゃんは楓ちゃんです!

プロデューサー

変だとは思ってたんだ・・・・・・

プロデューサー

楓は不思議な子だし、年の割に大人びてるし、この間は急に猫耳に興味を持ち出すし・・・・・・

つかさ

プロデューサー!

プロデューサー

楓・・・・・・。最初はアイドルには向かない子だと思ってた

プロデューサー

でもそんな楓が毎日一生懸命レッスンして、だんだん歌も踊りも板についてきて・・・・・・

プロデューサー

表には出さないけどすごい頑張り屋なんだ。喧嘩ばかりする留奈とひかりの間を取り持ったりもして・・・・・・一番年下なのに

プロデューサー

これからも一緒に頑張っていこうって約束したんだ・・・・・・

つかさ

プロデューサー・・・・・・

プロデューサー

楓・・・・・・

きょうはすこしひえますね

猫たち

にゃーん

でもみなさんといっしょならあたたかいです

猫たち

にゃーーん!

では、いきましょうか

プロデューサー

……もうだめだ。楓っ!!

つかさ

プ、プロデューサー!

プロデューサー

待ってくれ楓!! 行かないでくれ!!

プロデューサー

一緒にアスタリスクライブを目指そうって誓ったじゃないか!

プロデューサー

そんなにあわててどうしましたか?



*    *    *

わたしがねことはしりませんでした

プロデューサー

ご、ごめん・・・・・・

わたしはようせい

プロデューサー

う・・・・・・

しかも王さま

プロデューサー

か、返す言葉もない・・・・・・

プロデューサー

恥ずかしいよ・・・・・・。楓がどこかへ行ってしまうんじゃないかと思ったら気が気じゃなくなって・・・・・・

そうですね。プロデューサーはどうかしています

わたしはただねこさんたちとなかよしなだけなのに

プロデューサー

面目ない・・・・・・

わたしはどこへもいきません。みんなとずっといっしょです

プロデューサー

楓・・・・・・

もしわたしをどこかへつれていけるとしたら、それはプロデューサーだけです

プロデューサー

え?

つれていってください。きらきらした夢のステージへ

プロデューサー

・・・・・・!

プロデューサー

わかった! 約束する! 必ず楓を夢のステージへ連れて行く!

よろしくおねがいしますにゃーん

プロデューサー

……え?

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