薄い上掛けに潜り込み、全ての音から耳を塞ぐ。

 それでも聞こえてくる、唸るような爆発音に、ユキは震える唇を噛みしめた。 

花火なんて、なぜこの世界にあるのだろう?

 普段は自制している、汚れた感情を、薄暗がりに吐き出す。

 家族で花火を見に行った後で巻き込まれた、父と母と妹を失った交通事故。因果関係は無いはずの二つの物事が、ユキの心の中ではしっかりと結びついている。

あの、炎は

……大っ嫌いだ


 流れ落ちた涙を、ユキは布団の敷布で拭った。

 ユキの心の内を知っている、ユキを引き取ってくれた伯父夫妻も従姉妹のマリアも、夏の夜の間はユキが自室に閉じ籠もっていても放っておいてくれる。そのことだけが、ユキの心を軽くしていた。

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