妖精山(ようせいやま)
妖精山(ようせいやま)
彼らはここで暮らしているという。
背中に羽を生やし、宙を可憐に舞う。
『妖精』
俺たちはそれに会いに行く。
結構歩くなー
でもやっと見えてきましたね、妖精山!
へへへ! 楽しみね!
てかなんで姫様も一緒なんだっけ?
ちょっと『妖精王』に用があって、マチさんが妖精山に行くと聞いて、ではご一緒にと思いましてね!
マチちゃんとプリスって友人だったのか?
ええ、私も初めてこの世界に来た時、プリスちゃんに色々お世話になりました
へー……
てか、妖精に王様がいるのか!?
あ、この前お伝えした『通り名』ってやつよ!
通り名
この世界の住人は強い能力や活躍をする者に、通り名の勝手な呼び方を付け、何かと格付けしたがる。
復習終わり
でも妖精いないね
そうですね、もうそろそろ一人くらい、出会えてもおかしくないのに
ちょっと休憩しましょうか
ひとまず、俺たちはこの辺で休憩することにした。
マチがパンを作ってきてくれたので、俺とプリスは喜んでいただいた。
てか、どこからか野太い声が聞こえる気が……
おい! 聞こえるか!?
ねー、マチちゃんって腹話術とか出来る系?
ど、どういうことですか……!?
俺以外の男性の声が聞こえる気がするんだけど
実は、わ”だじでじだあ”あ”あ”!!!
……
あ、えーっと……
一応俺も芸を少しかじった身、今の空気は許せませんね、プリス姫
大変失礼いたしました……
「ゴホンッ!!!」
ゴッホ!?
ブッ!!!
ガハハハハハハハ!!!!! ゴッホって何よ!!!
ガハハハって……
やっぱりそこにいるな、誰だ?
ったく、さっさと登場させてくれよ!
あ、あんたは……
それは一瞬で自分たちと違う生物だと認識させた。
身長は15㎝くらいだろうか、小さいおっさんが羽を生やして俺の目の前を飛んでいる。
あなたが、妖精?
そうだよ、『妖精王』で分かるかな?
あ、あなたが妖精王!?
久しぶり、妖精王・牛島(ようせいおう・うしじま)さん!
な、なんということだ!
妖精王・牛島さんだと!
その神がかっているネーミングに俺は度肝を抜かれた。
久しぶりだな、プリス姫。 俺に用だったか?
ええ!
妖精石ちょーだい!
!?
あれ……!?
第六章 終