きっと、きっかけなんてものは、
本当は無かったんだと思う。






だって、その日その時そんな「偶然」がなくたって、
僕は別の機会に必ずそういう決断をして、
行動しただろうから。












ただ……

それが始まりだったのは、間違いなかった。

霊深度


00

僕。

が今みたいじゃなかった時の話。

夜明け前の電車は良いな

僕は始発の電車に乗っていた。



目的地は3時間先の某県のイベント。
日帰りの予定で、小規模な旅だった。

日の出は30分後か。せっかくだから見たいな

車内はしんと静まり返っている。

でももうすぐ、この車内は通勤ラッシュでいっぱいになる。




僕は旅行が好きだ。
出掛けるのが好きというよりは、旅自体が好きだ。

適当な目的を作ってはよく出掛ける。



そんな僕の特技は、
「電車内でバランスをとること」「どんな田舎の電車でも何時間乗っていても酔わないこと」
「どんなに計画が狂っても旅を完結させること」。
逆にそれ以外特技はないかもしれない。

青春18キッパー

ユースっ子

とか同級生には言われるけど、それはさておき。

この日以降朝焼けを純粋に楽しめなくなることを、僕はまだ知らない。

だから、見ておいて本当に良かったんだと思う。

へー……
ここが会場か……

友達に

「絶対一度くらい見に行った方が良いって!」

と強力に推されたのがこのイベント……
「コスプレ祭」だった。

ばあ!

出動であります!!

いらっしゃいませ

信じられます?
これ着ぐるみなんですよ?

会場では、様々なコスプレをした人たちが練り歩いていた。

意外と漫画アニメなんかのキャラクターは少なくて、どっちかって言うとオリキャラや人外ばかりだった。

あら、あなた変身し損ねたの?

あ、いや、僕は見てるだけで……

「人間に変化した妖怪」ね!
面白いわ

そうじゃないんだけどな……

僕は足早に会場を出た。

-00「僕となるもの」一

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