――その少女と初めて会ったのは、その白い花の狂ったように咲き乱れる場所であったと記憶している。

こんなにお花が咲いているから、私は幸せなんです。

それで良いの。
幸せなのです

……お前はそれで本当に良いのか?

私は――

――その答えを、今でもずっと覚えている。

霊深度

+
00

私。

……の、少し昔の話

――つまり

不足した研究材料を攫って来いと

私は拳を机に叩きつけた。



痛みなど感じない。

むしろ、机上のコップを零すくらいしかできない自分が憎らしい。

人 聞 きが悪い

必 要 なことなのだ
研 究 成果は大義のために生かされる

普段感情をあらわにすることの少ない私がこのような行動に出ても、心ひとつ動かせない。

これが私の限界だ。

――分 か っているな?

貴 様 がやらねば別の者がより手っ取り早い方法でやるだけだ

分かって、いる

――どうしようもないことなど、私が一番よく知っている。

――ということだな? 依頼は

――ああ、そうだ。

一体お前……何をしている?

……

……できるだけ早く

電話を切ると私は歩みを進めた。
いずれにせよここから先は電波が入らない。

『何をしている』、か

最低最悪のことだ。

この石段を上った先に、小さな神社が一つ、ある。

その神社には、本物の神が棲むと言われている。

そして、神の遣いも。





その神に篤く遣えたものは、死後幽霊となり、神の遣いの役目を果たす――

……

ん? お前――

私は、

お前が疫病神か!!

!!

巫女か、信仰している者か。



咄嗟に避ける。

その残影を追うように、その者から何かが繰り出された。

鋭い!

武器を持っているようには見えなかった。ステゴロか、それともこの神を信仰する者は天罰を下す力でも持つのか?

もし下るのが天罰なら、悪くない――

――だが。





それでは私が救われたような気になるだけだ。

挨拶は終わりか?

!!

ならば通らせていただこう

させるか!

やめなさい

ダメよセイラン、そんなことをしては。
分かるでしょう?

ねえさん……なんで

お願い……

……

男はゆっくりと立ち去った。

カガミ様ですね。
こちらへどうぞ

男を止めた女は、目を合わせることなく歩いていく。
霊力の強さがはっきりと感じられた。

この女は、人間か、噂に聞く幽霊か?
……私には分からなかった。

+00「私だったもの」一

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