ピッ…サーッ…ガッ
こちら本部
ユニコーンより通達
緊急事態の為、協力を求める…とのことだ
先方から、資料が届いている、今から同期させるので確認するように…
…あと、対象は生け捕りとのことだ
スポンサー様から直々のお使いだ
期待しているぞ!
何…心配するな、たかがガキと小娘だ
いいか…くれぐれもしくじるなよ!
以上だ…
ザッ…ピッ
マリカ@りぴーと
第三話 「マリカ@じゃんぷるーむ』
私と、マリカちゃん(フラーラ姫)は空港に着くと、休む間もなく目的地である『とあるマンション』へ向かっていました
マンション名も分からず、手がかりは、風景と住所の一部のみ…
普通なら、全く話しにならない状況でした
ちょっと!マリカちゃん!待ちなさい!
もう!散々っぱら振り回されて、こっちはクタクタなんだから、勘弁してよね!まったく!
チカ!はやく!はやく!
人混みを抜け、やっとの思いで空港ロビー出ると、マンションのある街へ向かうバスを探すことになりました
ターミナルから少し離れているのと、平日ということもあり、目的のバス停には空港なのに人通りはまばらでした
どのバスに乗ればいいか、すぐにわからず窓口で聞いていると、マリカちゃんはスムーズに移動ができないことに腹を立てたのか、地団駄を踏んでいました
チカ!
バスまだ?
じかんがなくなっちゃうよ!
仕方ないでしょ!
先生も初めてのとこなんだから、わかんないの!
ちょっとは静かにしてなさい!
他の人の迷惑でしょ!
行き先のバスは、すぐには来ないことがわかると、私はたまらず、近くのベンチへ腰を下ろしました
つ、疲れた〜
ちょっと休憩〜
もうだめ…
う〜〜〜〜〜っ
う〜〜〜〜〜っ
…頼む…
落ち着いてくれ…
お願いだから…
その時、一台のワゴン車が空港のロータリーに入ってきました
車内には黒服の男たちが3人
助手席に座る黒服は、ウインドウを半分ほど開け、サングラス越しに私たちを見ていました
男の持つタブレットには、マリカちゃんと私の画像が表示されている…
リアシートに座るリーダー格の黒服は、顎で指示をすると、それに応じる様に、ナビシートに座っていた黒服が車を降りたのでした
こーら!大人しく座ってなさい!
車が来るから危ないよ!
ヤダ!
くぅぅぅっ…腹立つなぁ…本当に…!
チカは、わたしのことキライになったんだ!
だから、わざとゆっくりしてるんだ!
ぜったいそうだもん!
何を〜〜〜っ!?(イラッ)
こんなに、してあげてるんじゃない!
もう!何がそんなに気に入らないのよ〜
………
…ってもう、怒る気力もないわ…
ちょっと私…寝る…
チィィィィカァァァァ!!
ねちゃダメェェェェェ!!
ふーんだ、もう泣いても知らないんだから!
おきてぇぇぇっ!
ねぇってばぁぁぁ!
無視、無視っと…
チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ……!!
うわぁ…これはひどい…予想以上だわ!
もう、チカだかカチだかわかんねーすよ
!…チカァァァァァァァッ!!!
さすがにやかましいか…どれ、いっちょ懲らしめて…
たすけ…〜むぐうぐ
!???
え?…助けて?
慌ててマリカちゃんを見ると、なんと、黒服の男に抱えられているではないですか!
男はマリカちゃんの口を塞ぎ、私に気付くと、身を翻し走り出しました
えっ?…ちょっと!…何?マジで?
ゆ・誘拐?
あ、私も人のこと言えないけども…
いや!そういう事じゃなくて!
こらーー!待ちなさー…きゃっ!!?
不意をつかれた私は、事の重大さに気付くのに何テンポか遅れをとり、追いかけるつもりがその場で転んでしまいました
モガーーーーーー!
だ・誰かぁぁぁぁ!
助けてくださ…
そう叫び終わる前に、私の前を人影が、素早く横切りました
え?
それは、一瞬の事でした…
何をされたのか…黒服は、その場で崩れるように倒れました
……
うう…
気がつくと、マリカちゃんは見知らぬイケメンにお姫様だっこをされていました
わぁぁぁぁ…
黒服はよろめきながら、起き上がると
謎のイケメン登場に予定が狂ったのか、逃げながら胸元のマイクを引き寄せて、どこかに報告している様でした
追わなくても?
良い、雑魚は放っておけ!
黒服はワゴン車に飛び乗ると、そのまま急発進し走り去った
マリカちゃん!!
私は、イケメンが抱えている、マリカちゃんを半ば強引に奪いかえすと、ぐったりした小さな体を抱きしめました
う…
…チカ…?
う、うぅ…
よかった…よかった…
ごめんね、ごめんべぇ…マリガぢゃん
…ごめんなさい…
もう!
バカ、バカ、バカ!
キライになる訳ないでしょ!
私が…どれだけ…う…
うわぁぁぁぁぁぁあああん!
お怪我はございませんか?
…そちらのご婦人も…
ご…?ご婦人?
えっ?えっ?…私のこと?
あ…はい!…大丈夫です!グスッ!
どどどうもありがとうございました
あ、やばい!
鼻水が…!!
…あ…
すると、突然、イケメンは片膝をつくと私とマリカちゃんにひれ伏した
わっ!ちょっ…!何してるんですか!?
ディザール…?
はい、フラーラ
お久しぶりです
お迎えにあがりました
ディズ!
たすけるのおそい!
あぶなかったんだから!
…申し訳ございません
転生後のお姿が不明であったので
騒ぎが起きるのを待っておりました故…
もう一人のイケメンも気がつくと、涙目で片膝をついました
ラーティンも…
5年ぶりですか…
姫…
え?え?…皆さん?知り合い?
…という事は…この方々は…
火星人?
いやぁ、でも…
その私の疑問は、次の瞬間あっさり解決しました
でも、よかった!
二人とも、生きていたんですね!(火星語)
めっちゃ、火星語だしね!
こうなると、もう100%ね!
この人たち…本物の異星人なんだわ!
うわぁぁっ…
今更だけど、実感でてきたわぁ…
はい(火星語)
…危ない時もありましたけどね(火星語)
はっ!
でも、二人はメキシコ担当だったはずじゃ…
…日本にいるってことは、もしかして…(火星語)
…お察しの通り、メキシコ、コスタリカ、ネパールの拠点はユニコーンどもに…破壊されました(火星語)
(ガァァァァァァンンンンンン!)
そ・そんな…じゃあもうジャンプルームは…
火星には戻れないの…?(火星語)
…申し訳ございません…
しかし、姫…実はその事でお話しが…(火星語)
ちょ、ちょおおとまったぁぁ!
!?
マリカちゃん!私にも分かる様に説明してよ!
あ…
ご・ごめんなさい!
そうだ!ディズ!あれある?(火星語)
はい…あれですね(火星語)
?
そう言うと、ディザールさんは胸元から
何かを取り出し
マリカちゃんの片耳に取り付けました
さぁ、貴女にも…
そう言うと、同じものを私の耳にも取り付けてくれました
すると…
んん!…あーあー!うんいい感じ!
!?
チカさん!これでちゃんと話ができますね!
(ポカーン)
え?
マリカちゃんが、流暢に日本語しゃべってる
まず、お詫びを…
無関係のあなたを巻き込んでしまったこと…
本当に申し訳ありませんでした…
私も、言葉の壁と、残りの転生時間が少ないことで、かなり苛立っていまして…
その事でも、大変ご迷惑をおかけしました
…自覚があったのね…それはそれで腹立つわぁ
でも、ちゃんとしてるし…
何?…本当はすっごいお淑やかとか?
お…おお…お?…おおう!
なんだか…
そして、これはお礼なのですが…
私をここまで連れてきてくれた事…
感謝しています!
調子狂ちゃうなぁ
本当に!ありがとう!
チカさん!
マリカちゃん?…あなた…
はい、私はシドニア アイメス王国第二王女、ルル・アイメス・クシュナ・スターナル・フラーラと申します
改めて、よろしくお願いします
……あ!…え?…え?
よ、よろしく…?
名前…そんなに長かったのね…
ディザールさんが渡してくれたものは
翻訳機でした
さて、我々もここから早く移動しましょう
敵主力が向かって来ているとの情報もございます
さぁ、お二人とも、こちらに車を用意しております
早くお乗りください!
て、敵って、何?
さっきの連中からして、かなり物騒なんですけど!
詳細について、車内でご説明を差し上げるので、まずは移動を…
…で・でも…
大丈夫!ディズは強い味方なのです!
安心して、チカさん!
さぁ、参りましょう!
フラーラはそう言うと、私の手を握ると、近くに止めてある車へ元気に駆け出した
わわわ!…ちょっと!引っ張らないでよー!
私は、車内の中で、さっきのディザールさんとの会話の内容をフラーラから教えてもらいました
なんでも、プロジェクト・ユニコーンという組織から、火星に移動する装置が設置されている拠点、『ジャンプルーム』をすべてを破壊された、というのです
これについては、フラーラを始め、他の地球に来ているマーシアン(火星人で構成された組織)達にも、大きな痛手となっているらしいのです
……そうですか、そんな事が…
チカ殿には、多大なご迷惑をおかけした様ですね…
そうだよ!
二人とも、チカさんには感謝してくださいね☆
…フラーラ!
行動が軽率すぎますよ!
昔からあなたは…
ふーんだ!
小言は結構よ!
…前言撤回!
やっぱり、ただのおてんば姫ではないか!
それも、筋金入のな!
あの…お二人は、マリカちゃんとは…その…どのようなご関係で?
これは、申し遅れました…
私は、ディザール…元軍人です。
フラーラがテラ(地球)へ逃れた際、護衛のため同行した次第
ディズと私は、いわゆる幼馴染なのです
私はラーティンと申します
火星ではエンジュニアで、ここではディザールのサポートを担当しています
チカさん、よろしくお願いします(ニコ)
はい!…お二人とも、よろしくお願いしますね
お、この人は一番とっつき易いな…
あ!…そうだ!
ラーティン、さっき何を言いかけたの?
ああ!そうでした!
あ…そっか!
ごめんなさい!
さっき私が遮ってしまったヤツよね!?
いいえ、お気になさらずに…(ニコ)
えー、確かに…
管理していた、ジャンプルームはすべて破壊されました…
……
ですが、一つだけ…あるんですよ…
火星に行ける方法が!
その頃…
…失敗しただと?
何をやっているんだ!
ガキ一人、拐う事が出来んのか!
…何?マーシアンどもが?
…そんなものは理由にはならんぞっ!
……まもなく、ユニコーンの由比氏が現地に到着されるそうだ
…もう、何度も先方から報告の催促が入ってきている…
…止む得ん、そのまま報告するしかない…か
…くそっ!この役立たず共!
俺に恥をかかせやがって!
お前たちの処分は追って連絡する!
それまで、そこで待機していろ!
いいな!
以上だ
ザッ…ピッ
第三話 「マリカ@じゃんぷるーむ」
終
◆次回予告◆
さーて、来週のマリカさんはー…
そうそう、マリカちゃん!
いっつもバカなこと、言ってないでマジで予告やりなさいよ!
苦情来てるわよ!(嘘)
はい!マリカです
皆様、今回のお話はいかがでしたでしょうか?(キリッ)
謎の組織ユニコーン、破壊されたジャンプルーム…そして、ラーティンの提案する秘策とは?
果たして、マリカ達は無事火星に辿り着けるのか!?
おお!…やれば出来るじゃない!
…はっ!
ん?どした?
うおおっ…やっべ!寝てたわ…
自分の寝言で目が覚めちったよ…
さっきのあれ
寝言やったんかぁぁぁい!!
次回、マリカ@りぴーと
第四話「マリカ@ゆにこーん」
お楽しみに!