私は、チカ
いち保育士で、普通の人間…
これまでも、波風立てずに
平凡に生きてきました
きっとこれからも…
ずっと、そうなんだと思っていました…
私は、チカ
いち保育士で、普通の人間…
これまでも、波風立てずに
平凡に生きてきました
きっとこれからも…
ずっと、そうなんだと思っていました…
『この度は、ご搭乗いただき、誠にありがとうございます
この便は、巣酉江空港行き1041便でございます…』
機内アナウンスが流れている…
そう、ここは飛行機の中…
隣には、マリカちゃんが窓の外を眺めている…
ははは…
どうしてこんなことに…
これって…
犯罪だよね?
なんて罪になるんだろう?
未成年者略取?
監禁?軟禁?
はて?
後で、ぐぐってみよ…
チカ…ごめんなさい
まだおこってる?
え?…ふふっ、もう怒ってないよ
…だって…
じゃあ、なんで、ないてるの…?
………
…なんでだろねぇ?…
ふ…ふふふっ
あはっ
あははははは…
……
…終わった…
…さようなら、私の平穏な人生…
マリカ@りぴーと
第二話 『マリカ@てらふぉーみんぐ』
なぜ、わたしがマリカちゃんを連れて飛行機に乗っているかというと
話しはあの、マリカちゃんの『火星人』発言直後までさかのぼります……
ー4時間前ー
わたし、カセイのひとだったの!
火星の人?
か・火星人…?ってこと?
(コクリ)
わたしの、カセイでのおなまえは
『フラーラ』
シドニアのおうさまのかぞくだったの
お?
可愛い名前、お花みたい♡
へぇー
そのシドニアって国?
王様の家族ってことは、王族?
もしかして、マリカちゃんはお姫様?
うん!
2ばんめのおひめさまだったの!
継承順位ってやつかな?
でも、2番目って結構有望じゃない!?
すっごーい!お姫様かぁ!
そしたら、マリカちゃんはフラーラ姫だね!
へへへ☆
うん、うんマリカちゃんのこの笑顔
好きだなぁ
フラーラのときのわたしは、チキュウじんのやろうとしてた『テラフォーミング』がイヤだったから、みんなでやめてっていっていたの
んん?
てら…なんだって?
テラフォーミング!
かせいじんをいきくるしくすること!
あれ?カセイのひとから、いつの間にかカセイジンになってる!
そっか言葉を覚えているんだわ!
すっごい吸収力!やっぱり子供はすごいなぁ!
そっか、そっか、ゴメンね
続けて、続けて☆
でも、とつぜん、カセイのエライひとたちが、テラフォーミングしてもいいってきめたの
ええ?どうしてぇ!
…そ…それは…
その質問をすると、途端、マリカちゃんの顔がみるみる真っ赤になっていきました
そして、また…
◎⊆△×☆〜!!
∈〻¬…%∴∈△〻!
うわぁ!
なに?なに?
わかんない!わかんないよ!
落ち着いてマリカちゃん!
どうやら、興奮したり、表現できないと
火星語が出るみたいね…
…刺激しないようにしなきゃ
はぁ、はぁ…ゴメンなさい…
ダメ、このキモチ、いまはまだコトバにできないよ
それくらい、キライ…
かなり強烈な拒絶反応だわ…
これは相当ね…
何があったんだろう…
それで?
フラーラはどうなったの?
そしたら、わたしたちみんな、わるいひとになったの…
そして、…ママは…わるいひとだからってみんなから、しんじゃえって…
え?…ママが?みんなから?しんじゃえって?
どういう意味だろ?
…うぅ
ヒック
!?
マリカちゃん?
泣いてるの?
……
きっと、悲しい記憶なんだろうな…
もういいよ…マリカちゃん
ゴメンね
お話しありがとう
私は、泣いてるマリカちゃんを優しくハグしました
(コクリ)
よし!
マリカちゃん!
マリカちゃんのこと先生信じます!
………ほんとう?
…うん!
ありがとう、チカ!
ん!?…おい!!
ふふふふ
どういたしまして
先生は?
先生がついてないぞ、マリカちゃんんん!!
…まぁいいか…
じゃあ、私は何をお手伝いしたらいいの?
えーとね…ここニホンだよね?
そうだよ?どこかに行きたいの?
うん!
どこに行きたいの?
メキシコかコスタリカ!
遠いな!
私、パスポート持ってないしね!
そして多分、あなたもな!
わたしね、ニホンに、とおくへジャンプするキカイがあるところしってるの!
?ジャンプ?何それ?
ワープみたいなことが出来る機械ってこと?
そこに行けば、たぶんだいじょうぶ!
多分かよ!
場所はどこにあるの?
うーん、おなまえわからない…
あ〜〜〜〜え〜〜〜と〜〜〜〜
地図…
そうだ!地図なら分かる?
私は、スマホの地図アプリをマリカちゃんに見せてみました
うーんと…
……
………
あった!ここ、ここ〜!
ねぇチカ!ここちかい?
きょういける?
あーここなら、飛行機で1時間くらいでー…って
…はっ!
…はっ!
いやいやいや、今日はダメだからね!
まだ親御さんにも許可もらってないんだから!
危な!
安請け合いするところだった!
エーーーーーッ!
やだやだー!じかんなくなっちゃう!
いますぐいかなきゃなダメなの!
ヤダヤダじゃない!
この、わがまま姫は!
ダメったら、ダメですからねぇ!!
これ、絶対にアカンやつ!
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
唸ってもダメ!
ダメ、ダメ、ダメ!
絶対!ダメなんだから〜!
その後もしつこいくらい、今から出発したいと聞きませんでした
マリカちゃんの強すぎる想いに、一種の緊急性を感じつつも、私も子供を預かる責任ある身
それは出来ないと抵抗しましたが、まさに『のれんに腕押し』…
柵を飛び出し、一人でも行くと息巻く始末…
とうとう最後は、押し切られ、二人で園を脱出
気もそぞろに、準備を済ますと、空港へ向かいました
親御さんの許可も貰えないまま…
と、ここまでが、これまでのあらましでした
今頃、保育園は大騒ぎだろうな…
もうどうでもいいや…
わずか3ヶ月ほどだったけど、お世話になりました
チカは、塀の中へと巣立ちます
あ…!チカ!みて、みて!
ひこうじょうのひとたち、バイバイしてるよー♪
…………
お姫様は気楽でございますね
下々の気苦労など、お考えにはなれないご様子ですなぁ……
ふと、マリカちゃんの肩越しに、作業スタッフ達が横一列になって、滑走路の脇から手を振っているのが見えました
それが、どこか現実世界との別れのようで
『もう私は、そっちへは戻れないんだな…』
そう、ひっそり覚悟を決めていると
出発の時間が来たのか、飛行機はぐんぐん加速し
大空へと飛び立ちました
お姫様に囚われた、哀れな保育士を乗せて…
…その頃
到着先の空港では
…ラーティン、この時間の便で間違いないんだな?
はい、ディザール
我が同志の情報です!間違いありません!
うむっ!
今回のミッションは我ら、誇り高きマーシアンの名にかけて、絶対に成功せねばならない!
はっ!
うむ!では、現時刻より状況を開始する!
マーシアン万歳!
マーシアン万歳!
そして、もう一つ
飛行機が飛び立つ2時間ほど前…
てんせい保育園が
何者かに襲撃されました…
私達がその事を知ったのは
しばらく経ってからの事でした…
第二話 『マリカ@てらふぉーみんぐ』
終
◆次回予告◆
さーて!来週のマリカさんはー…
はい!
なんと!私のいた、保育園が爆破されました!
これはテロです!大事件です!
ひゃー!なにそれーっ!て感じですよねー
最後に登場した、謎の厨二設定の男達!
謎が謎を呼ぶ展開でしたよねー!
一体、犯人は誰を狙っての犯行だったのか!
そして、あの男達との関連は!?
…わかりません、でも危ないところでした
私が、チカを無理やり連れて行かなければ、二人とも巻き添えを食ってたところです
チカには、泣いて感謝して欲しいです
…えっ!?
…えっ!?
次回、マリカ@りぴーと
第三話『マリカ@じゃんぷるーむ』
お楽しみに!