由宇と秋帆に連れられるまま、カフェに到着した。
由宇と秋帆に連れられるまま、カフェに到着した。
で、どうよ
えっ?
どうなの?
……えっと
ふたりの笑顔がとても怖い。
話してごらんよ、舞花?
ぜーんぶ話したら、きっと、すっきりするよ?
すっきり、したいわけじゃないっていうか……
煮え切らない私を見兼ねてか、由宇が水を飲んでふぅ、と息を吐いた。
ひとまず、なにか注文しようか
……ですな
そう、席に着いた途端に尋問が始まったのだ。私も思わず息を吐いて、メニュー票を手に取った。
此処ね、カプチーノが美味しいんだよ
そうなの!?俺甘いの好きだから楽しみだなぁ~
甘党なんだ!?意外だ~
そう?俺苦いの駄目だからブラックとか飲めないんだよね、男としてはかっこつかなくてあれだけど
デートってふたりが楽しくなきゃ意味ないんだから、苦手なもの無理して飲む必要ないよ
神原、いいこと言うねぇ
ふたりが話している間に、私はカプチーノとラテの間でゆらゆら揺れ動いていた。
どっちにしよう……
舞花、決まった?
まだ……カプチーノと、ラテで迷ってて
この前ラテ飲んでたし、カプチーノにしなよ
じゃ、カプチーノで決まりかな
みんな決まったね、じゃ、注文して本題に入ろうか
店員さんを呼び、注文を済ませる。みんなの分が揃ったところで、由宇が話を切り出した。
俺さ、今日の朝に舞花と会った時から思ってたんだよ、なにか花楓さんの入院とは別のことで悩んでるんじゃないかって
深刻そうな顔で羽邑に相談されて、いつもより注意して舞花をみてたけど、うん、確かにただ心配で、って感じじゃないなって思ったよ
心配かけて、ごめんね……
それは舞花が気にすることじゃないよ。でね、俺はその理由が知りたいんだけど、どうかな、話してくれる……?
……大丈夫、ふたりはありえないと切り捨てたりなんてしない。きっと、受け止めてくれる。
深呼吸をひとつ。そして私は、週末に訪れた『時間屋』のこと、訪れることになったそもそもの経緯をふたりに話した。
なるほど……。そんなことがあったのか
その時屋って人に事情を聴けたらいちばんだけど、話してくれないだよね、ケチな奴
……私が時屋さんと契約すれば、きっと
それは、駄目だよ!!
えっ
由宇が大きな声を出すのは珍しい。秋帆も目を丸くしていた。
……俺さ、その、時間屋のことを正蔵さんから聞いたことがあるんだ
そうなのっ!?
まじか!羽邑が知ってるなんて……。で、えっと、その、正蔵?さん?ってさ、誰なの?
あっ、ごめん、正蔵さんは、舞花のおじいさんだよ
時屋さんは、おじいちゃんも契約者だって、言ってた……。由宇、おじいちゃんは、なんて言ってた?
時間屋は……
命を対価に時を売るため言葉巧みに人を騙す、道化師だ、って
第六話へ、続く。