覚醒し、転生前の記憶を取り戻してしまった、私達。

確かに、以前のような姉妹には、戻れないのかもね

 知らずに転生した者達が、また、私を勇者とするかもしれない。

 同じようなことが、魔王にも来るかもしれない。

(……私一人だけ、残されちゃう?)

別グループ、
他者の引き抜き、
もしくは独立……
あぁ

私のかわいい妹が遠のく!?

……変わらないものも、あるよ

 ささやかな声は、懐かしい、妹のもの。

変わらない、もの?

うん。
それは――

 そして妹は、魔王と混じった満面の笑みで、声を上げた。

姉と勇者に対する、愛情だ!

ほ、ほんとに!?
お姉ちゃん、見捨てられない!?

うん!
お姉ちゃん、大好き♪

私も……

あれ?

どうしたの?

あの、ちょ、ちょっと待って?

どうしたの、勇者なお姉ちゃん?

(さっき、私以外に、なんて言った?)

勇者を、好き?

そう言ったが?

勇者の私を好きって、
魔王。
どういう

愛でたかった

ん?

並みいる我が領地を奪い、
歴戦の部下を倒す

そして美顔と優しさ

その気高さに、我の心は悶え狂い!

あっ、もういいです

……だからわたしは、姉さんと争うの、嫌だったんだ

すごく複雑だけど

その話、聞けてよかった

そうなの?

勇者、って呼ばれてたけど……
私も、嫌だったの

争い事苦手だし、魔物もみんなが悪い人じゃなかったし

じゃあわたし達、前世から両想いだったんだね♪

いやそれはない

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