落ち着かない

この、衣装のこと?

踊り子や巫女は部下にいたが、自分で着るとなるとな

私はなんにも。
半分は今の子だから、かな

……この子。
恥ずかしいのを、凄く耐えてるんだな

そこが、可愛いんじゃない♪

――あ、ありがと

……///

(この気持ち、どっちのだ?)

記憶がぐっちゃなのは、本当に困るよね

姉さんは、今の人格の方が強そうだな

んー、そうね。
勇者、って自覚はあるけど

ふっ。
好敵手である貴様の出現が嬉しく、
期待に胸躍る!

そして――姉さんらしいのも、
わたし嬉しい♪

……あなたのちぐはぐ感は、
うん、どう修正しようか?

 尊大で傲慢。自身の力に自信を持ち、奇妙なカリスマ性もある。
 その振る舞いは、記憶にある魔王のイメージ。

(……あの子と、全然逆なのね)

 アイドルとしての私と、勇者だった私。
 混ざり方が良かったのか、私は、あまり違和感はないんだけれど。

……変わって、しまったのね

 妹は、少しだけ、寂しそうな顔をした。

魔王が混ざっているから、ね。

――やっぱり、嫌?

複雑、だわ。
妹のようで、でも敵だった姿にも見えて……寂しい、のかも

――我も、複雑よ

姉さんのそんなに辛い顔、見ているのが、とても辛いから

 そこで妹は突然、ちょっと悪そうな笑みを浮かべた。

だから、我は決めたぞ!

決めたって、いったいなにを?

 驚き問いかける私に、手を大きく広げ、妹姿の魔王は叫んだ!

姉さん、わたし、
アイドル界の魔王になる!

……はっ?

先ほど聞こえた転生者の声と、
アイドルというカリスマ性!

この両輪を利用し、
この世界を変えて見せようぞ!

よし、ちょっとお姉さん
泣かせたいみたいだから、
黙ろうか?

ワー、笑いながら威圧する顔、
妹も魔王もミタコトナイー

ちょっと魔王、
妹の記憶をスコップしなさい

う、うん……

あっ、浮かんできた、ような?

いろいろ、大変なこともあったでしょ

そう、ね……
仕事でも人でも、たくさん

ただでさえ過酷なアイドル世界、
余計なトラブルは排除すべきなの

(姉さん、その発言こそ
魔王っぽいよぅ!?)

だ、だが、我らの歌で前世の記憶が目覚めるのだろう?

錯覚だ

つまり目覚める数が多いほど、
かつての世界と同じ力を
ふるえるのと同じ!

あなた疲れてるのよ

最終的に我は、魔王の力を取り戻す!

私と、戦うために?

……うわぁぁぁん、やだよぉ~!

04・余計なトラブルは排除すべきなの

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