日に日に陽が短くなっていく。
サキとルルの影が、夕陽に照らされて長く伸びる。

食べ物集め、頑張らなくちゃね

仕留めた獲物の肉は干し、保存が利くようにすりつぶした木の実で加工する。小さい頃から身に着けてきた知識を惜しみなく使って、サキは冬に備えていた。

木の実あつめたーっ

ルルは木の実集めの天才だった。食べられない木の実は絶対に拾ってこないし、サキが欲しがっている木の実を器用に選別しているようなのだ。
自分自身は口にしないのに、不思議である。
小さな両手にいっぱいの木の実を抱えて、ルルは誇らしげにしている。

ありがとう!これで山を下りるまではなんとかなるかな。

種類ごとに木の実を分けた皮の袋は、いつの間にかいっぱいになっていた。

サキ、いなくなっちゃうの?

春が来たら、山を下りるわ

何の気なしに、当然のように放った言葉。

……えぐっ

少しの間を置いて、ルルが瞳を潤ませた。
サキは驚いて、裾にすがりついてくるルルの両肩に手を置いた。

サキ、ルルのことおいていっちゃう?

いや、ルルを置いていったりしないわよ!

反射的にそう答えたものの、サキは戸惑った。
「迎えに行く」と手紙にはあった。
いつになるのかは分からないが、サキがルルを連れて帰る未来はないはずなのだ。
しかし、この様子では恐らく、ルルは誰かが迎えに来ることを理解してはいない。サキから説明してやる必要がありそうだった。

ずっといっしょ?

確かめるような瞳がサキを見つめる。
ずっと一緒。そんなことはきっとない。しかしサキは、誰かが迎えに来ることを、ルルに説明することから逃げようとしている自分に気が付いた。そして、都合よくこう考えた。

サキがルルとこの森で別れたとしても、心のつながりを保つことはできるのではないだろうか。
だとしたら、どう転んでも、ずっと一緒だ。嘘にはならない。

うん、ずっと一緒よ!

♪♪♪

ルルは満足したようで、また忙しそうに木の実集めを始める。
最も厳しい季節は、もうそこまで来ていた。

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